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平成28年度 事例Ⅰ 過去の解答には横串だけじゃ足りなかった

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おはようございます。

中小企業診断士のシンです。

みなさんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。

本日は「平成28年度 事例Ⅰ 過去の解答には横串だけじゃ足りなかった」です。

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まずは平成28年度 事例Ⅰの過去記事から。

「平成28年度 事例Ⅰ 老舗印刷業者の失敗と成功を解答する」

「平成28年度 事例Ⅰ 年号と時制に気をつけろ!そして、決戦は近いぞ!士気をあげろ!」

「平成28年度 事例Ⅰ 外部環境の変化が厳しいので人材の流動性を確保」は下記です。 

 

今回は平成28年度事例Ⅰの解答例まで見ていきます。

※設問、【出題の趣旨】、<対応付ける段落>、「キーワード・センテンス」『1次知識』(解答例)の順で1問ごとにみていきます。

解答例は、(a)は2018年9月、(b)は2019年5月の解答です。

2018年は悔しくも1次試験で敗退する中2次試験の勉強を続けて現在地を図った解答。

 

標準的な時間配分。設問解釈10~15分、概要把握15~20分、対応付け5分で、40分経過。残り最大40分。1問8分ぐらいです。

 

S強みのは過去の成功体験をまとめる、第1問(設問1) 

第1問(配点40点)
業績が好調であったA社の<3代目社長>の「時代」に進められた事業展開について、以下の設問に答えよ。

(設問1)
「当初」立ち上げた一般印刷事業など事業展開によってA社は成長を遂げること
できた。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で述べ
よ。

  

【出題の趣旨】

→ 当初立ち上げた印刷事業が成長した要因について、分析する能力を問う問題である。

 

<対応付けた段落>

第2・3・4段落に対応付けました。

  

「キーワード・センテンス」

第2段落:「創業以来」の主力製品の学校アルバム事業>が70%。

残りの30%は<一般印刷事業>、「1980年代」にスタートさせた<美術印刷事業>と<その他新規事業>。

 

第3段落:「1990年代半ば」。当時のA社の成長を支えてきた要因の一つは、今日でも経営理念として引き継がれている人材力の強化、すなわち社員教育の成果にあったといえる。

 

第4段落:「1970年代半ば」に<3代目社長>が、他社に先駆けてオフセット印刷機を導入したのを契機にして、独自で技術開発に取り組んで印刷精度を向上させた。それによって<学校アルバム事業>を拡大させ、高い印刷精度が求められる<美術印刷事業>にも参入している。また、社員教育に力を注ぎ企画力やデザイン力を強化・向上させたことで、他社と差別化を図ることもできるようになった。さらに、教育効果を高めるために、「1980年代半ば」には、自社所有の遊休地に研修施設を建設し、新入社員研修や従業員の体験学習小集団活動を積極的に促してきた。

 

『1次知識』

コア技術戦略、コア資源を多重利用

 

(解答例)

(a)要因は「社員は宝」の経営理念の元、社員研修や体験学習、小集団活動による社員教育を積極的に行い人材力の強化③を図る。またオフセット印刷機導入①し、企画力・デザイン力を教育により強化・向上③させ差別化④を図った為。11点

 

→与件文の中の要素が足りない。 

 

(b)要因は高度な印刷技術を磨き上げ③社員教育に力を注ぎ③他社と差別化④を図った事。オフセット印刷機導入①独自で技術開発に取組み③印刷精度向上、自社研修施設で研修・体験学習・小集団活動し企画力・デザイン力強化向上③。17点。

 

→要素の詰め込み解答。第3・4段落の過去の成功体験をコンパクトにまとめる。

 

強みの要素をまとめて、より多面的に多く入れられるか。

 

 逆に失敗がきかれると答えづらくなる第1問(設問2)

第1問(設問2)

1990年代後半」になっても売上の大半を<学校アルバム事業>が占めており、A社の
<3代目社長>が推し進めた<新規事業>が大きな成果を上げてきたとはいえない状況であった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で述べよ。

  

【出題の趣旨】

→ 印刷事業関連以外の新規事業大きな成果を上げることのできなかった要因を把握する能力を問う問題である。

 

<3代目社長>が推し進めた<新規事業>を印刷事業関連以外の新規事業と言いかえている。

 

<対応付けた段落>

第4・5段落に対応付けました。

 

「キーワード・センテンス」

第4段落:「1970年代半ば」に<3代目社長>が、他社に先駆けてオフセット印刷機を導入したのを契機にして、独自で技術開発に取り組んで印刷精度を向上させた。それによって<学校アルバム事業>を拡大させ、高い印刷精度が求められる<美術印刷事業>にも参入している。また、社員教育に力を注ぎ企画力やデザイン力を強化・向上させたことで、他社と差別化を図ることもできるようになった。さらに、教育効果を高めるために、「1980年代半ば」には、自社所有の遊休地に研修施設を建設し、新入社員研修や従業員の体験学習小集団活動を積極的に促してきた。

 

第5段落:「1980年代後半」の書き出しから第1問(設問2)と時制が同じ。

<印刷事業>の成長の可能性に懸念を抱くようになり、事業多角化

オリジナル製品を開発し、商品見本市などでの販売

企業研修事業

教育関連事業

コンサルティング事業

⑤写真館の店舗デザインを助言するといった事業

漫画雑誌やタウン誌を編集し発行する出版事業

 

『1次知識』

シナジー効果が得られいない。コア技術戦略。

コア技術の関連多角化無関連多角化

 

(解答例)

(a)要因は推し進めた事業は学校アルバム事業と無関連多角化で、蓄積してきた高度な印刷技術①活用するものでなかった⑤為。印刷関連製品、社員教育施設①経営資源を活かしたが、差別化図れず①主力事業にはならなかった為。8点

 

無関連多角化は書けてはいるが、決めのワードが入っていいない。

因果の内、果の経営用語・1次知識・採点者に刺さるワードが入っていない。

 

(b)要因は自社の経営資源を活用して複数の事業に多角化を図ったが、無関連の多角化資源が分散④されてしまった事。学校アルバム事業を核に蓄積された高度な印刷技術①とのシナジー効果がなく④競争優位性がなかった事。13点

 

経営資源が分散。シナジー効果、の部分で加点。

 

失敗要因をまとめるのもパターン化。知識ワードが得点ポイント。

 

文章でまとめる力がもとめられた第2問(設問1) 

第2問(配点40点)
A 社の<現社長(5代目)>の経営改革に関連して、以下の設問に答えよ。

(設問1)
A社が、新規のアルバム事業を拡大していく際に留意すべき点について、これまでの学校アルバム事業の展開との違いを考慮しながら、中小企業診断士として、どのような助言をするか。100 字以内で述べよ。

 

【出題の趣旨】

 学校アルバム事業との事業展開の比較を通して、新規アルバム事業の事業展開において留意すべき点を分析し、適切な助言をする能力を問う問題である。

→追加情報は無し。

 

<対応付けた段落>

第7・8段落を対応付けました。

 

「キーワード・センテンス」

  第7段落:「2008年」のリーマンショックの余波が、印刷業界を襲った。少子高齢化価格競争の激化、景気低迷といった逆風の中で、このままでは生き残ることさえ難しいと感じた<A社社長>は、経営改革を決意した。まず着手したのは、多角化した事業に分散していた経営資源を主力製品であるアルバムに集中し強化することであった。

 

第8段落:少子化の中で学校数が減少学校アルバム市場が縮小するとともに、デジタルカメラの普及以来、それまで学校とのパイプ役を果たしていた地域の写真館の数が減少する中で事業規模を維持していくためには、アルバムの新たな市場や需要を開拓することが不可欠となった。そこで、ターゲット市場を学校だけに限るのではなく美術館や企業、そして一般消費者のアルバム需要を掘り起こすことに力を入れる体制作りをスタートさせた。少量印刷・高品質印刷が可能な最先端のデジタル印刷機>を導入して、得意としてきた<美術印刷事業>のさらなる強化に加え、定年退職者の記念アルバムや子供の成長記録アルバムの商品化など新規事業を立ち上げた。とはいえ、それら事業を展開するためには、これまでの<学校アルバム事業>と異なる営業戦略、事業運営体制が必要となる。<生産現場の従業員>を<営業担当>に配置換えするとともに、巨大な潜在市場を抱える大都市圏にも営業所を設けるなどして、営業力強化の体制作りに取り組んだ。

 

『1次知識』

経営資源選択と集中、顧客ニーズの収集外部から資源獲得。

 

(解答例)

(a)違いは新規のアルバム事業は顧客を学校だけではなく美術館、企業、一般消費者④様々でニーズが違う②事。留意点はアルバム需要の喚起の為、営業力を強化する体制作り④、運営体制により高い印刷技術アピールし差別化②図る。12点。

 

→とりあえずまとめてはいるものの、要素が少ない。解答が薄い。 

 

(b)学校アルバム事業は顧客が学校で需要と製品企画が安定的②であるが、新規のアルバム事業は、製品開発し需要を開拓しないといけない。生産現場の社員により提案営業④大都市圏での営業活動に人材集中④させ柔軟迅速に対応する。10点

 

 →微妙。2回目でブレが生じている。与件文から抜き出し加点される部分が正確に抜き出せていない。

 

過去の失敗の反省から与件をまとめて、多面的に助言する。

 

組織なのか戦略なのかの第2問(設問2)

第2問(設問2)

(設問2)
A社では、これまで、<学校アルバム事業>を中核に据えた機能別組織体制を採用していたが、複数の事業間で全社的に人材の流動性を確保する組織改変した理由を、100 字以内で述べよ。

 

【出題の趣旨】

→ 新規事業を展開する上で、複数事業間で人材の流動性を確保する組織に改変した理由について、分析する能力を問う問題である。

 

<対応付けた段落>

第6・8・9段落

 

「キーワード・センテンス」

第6段落:⑥しかし、<現社長>が就任した「2003年」を前後して、印刷業界の経営環境が大きく変化した。インターネットが急速に普及し始めて出版系の需要が大幅に減少した。加えて、印刷のデジタル化によって専門性の高い製版技術が不要になり、他業種から印刷事業への新規参入が急増するようになった。印刷業界では、新規参入企業との価格競争が激化し、「1998年以降」の「約10年間」で市場規模が2兆円以上縮小し、少なからぬ企業がこの市場からの撤退を余儀なくされた。その厳しい状況の中で、<A社社長>は100年の歴史を背負うことになったのである。

  

第8段落:少子化の中で学校数が減少学校アルバム市場が縮小地域の写真館の数が減少

アルバムの新たな市場や需要を開拓することが不可欠。

ターゲット市場を学校だけに限るのではなく美術館や企業、そして一般消費者のアルバム需要を掘り起こすことに力を入れる体制作りをスタートさせた。

少量印刷・高品質印刷が可能な最先端のデジタル印刷機>を導入して、得意としてきた<美術印刷事業>のさらなる強化に加え、定年退職者の記念アルバムや子供の成長記録アルバムの商品化など新規事業を立ち上げた。とはいえ、それら事業を展開するためには、これまでの<学校アルバム事業>と異なる営業戦略、事業運営体制が必要となる。<生産現場の従業員>を<営業担当>に配置換えするとともに、巨大な潜在市場を抱える大都市圏にも営業所を設けるなどして、営業力強化の体制作りに取り組んだ。

 

第9段落:機能別組織体制を見直し、アルバム事業、一般印刷事業、美術印刷事業、教育関連事業など、複数の事業間に横串を刺すして、全社が連動し人材の流動性を確保できるような組織に改変

 

『1次知識』

機能別組織体制のデメリット

迅速な意思決定がができない、部門間の情報共有がない、セクショナリズム

機能別組織ののデメリットを人材の流動性を確保することで解消。

マトリックス組織

限られた経営資源の多重利用。ノウハウ知識の共有。機能別組織を解消すると、組織的な対応が可能。

  

(解答例)

(a)理由は他業種からの新規参入が多く、価格競争も激化する環境③で、経営資源を共有化①してシナジー効果を醸成する③為。柔軟性を持つことで環境変化に対応して、社員を効率的に活用し③リストラせずに売上や利益確保する為。10点

 

機能別組織のデメリットが書けていないです。

 

(b)専門性の高い複数の事業間での人材を多重利用する③事で、経営資源を有効活用②し、市場を開拓できる体制を構築する為。外部環境変化が激しい中②、顧客ニーズを拾い上げて、製品開発し、営業体制の確立③で売上利益を確保する。12点。

 

→ここでも機能別組織のデメリットが書けていないです。組織の問題と強く意識して解答すべき問題。

 

組織と戦略の融合問題。それぞれで要素を書いて掛け合わす。 

横串〜に惑わされて、書くべきことを忘れたのか?

 

知識を出来るだけきれいに詰め込む第3問

第3問(配点20点)
業績低迷が続A社が有能な人材を確保していくためには、どういった人事施策を導入することが有効であると考えられるか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ。

 

【出題の趣旨】

 業績低迷が続く地方都市の中小企業が、事業を継続していく上で必要となる人材をいかに確保していくかについて、適切な助言をする能力を問う問題である。

 

→必要となる人材をいかに確保していくか

採用がメインの問題。

 

<対応付けた段落>

第1・10段落を対応付けました。

 

「キーワード・センテンス」

第1段落:①しかし、こうした厳しい経営状況にもかかわらず、およそ「150 人前後」で推移してきた従業員非正規社員15 人前後を含む)のリストラを<A 社社長>自身考えていない。A社ではこれまでも経営理念の一つとして掲げてきた「社員は宝」のスローガンの下で、新卒社員や女性社員の採用を積極的に進め人件費以外の部分で効率化を図ることに注力してきた。

 

第10段落:労働人口の減少が著しい地方都市にあって100 年の節目を迎えるためにも、さらなる経営改革の推進とともに、それを実現していく有能な人材の確保が必要であることは確かである。

 

『1次知識』

人的資源管理の問題。

採用、配置、能力開発、評価

モラール、権限移譲、定着率向上

有能な人材を確保から採用や能力開発を想定。

 

(解答例)

(a)有効な人事施策は①一部成果主義を営業社員に取り入れ公平・透明で納得させモラールの向上を図る③。②教育研修制度を充実させ新卒採用②を積極的に行う。③OJT・勉強会で社員教育し能力開発③。④権限移譲し定着率の向上②。10点。

 

→キーワーど詰め込み作戦。全体的に要素の紐づけがなってなく意味が通りづらい。

 

(b)新卒社員②女性社員を積極的に採用②し効率的に人材を活用して組織活性化させる。新卒写真は長期的に育成し②組織文化の継承、配置転換で能力開発①する。女性社員は柔軟性のある勤務体制・評価制度を導入②定着率向上図る②。11点

 

→やはりつながりは微妙。とりあえず埋めた感が否めない。

 

与件にそった人的資源の助言を行う。

 

(a)51点

(b)62点

概算の点数。

 

第1問は取りどころ。ここで点数をとらないときつい。

第2問は切り分けが難解。ここはリスクヘッジの複数回答で難を乗り切る。

第3問の出来で安定するかどうか。知識を与件にあてはめて解答できるようにする。

 

 

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バーベキュー用の横串

横ぐしについつい引っ張られる。

振り返ってみると奥が深い。

横ぐしで人材の多重利用。 

 

問題に対応した書籍紹介

平成28年度(2016年度)の解答解説が掲載されている書籍です。

過去問

診断協会のホームページからダウンロード

中小企業診断士試験問題

AASのホームページからダウンロード

試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。

2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校

 

TAC 定番の過去5年間の過去問の解答解説

 ふぞろいな合格答案10

 平成28年度試験(2016年度試験)の答案分析と再現答案

 ふぞろいな再現答案4、再現答案4

 平成28年度と平成27年度試験(2016年度と2015年度試験)の答案分析と再現答案

中小企業診断士2次試験 ふぞろいな答案分析 4

中小企業診断士2次試験 ふぞろいな答案分析 4

  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 単行本
 
中小企業診断士二次試験 ふぞろいな再現答案 4

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  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 単行本
 

 ふぞろいな合格答案 10年データブック

 平成28年度(2016年)~ 平成19年度(2007年)の10年間分が収録。

 事例問題攻略マスター(第2版)

再現答案やプロセスではお薦めです。

各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。A5版と小さく持ち運びに便利。

中小企業診断士2次試験 事例問題攻略マスター (第2版)
 

TBC速習2次過去問題集 平成28~30年度

本日のまとめ 

今回の記事は いかがでしたでしょうか。

最後に本日のまとめとなります。

今回は「平成28年度 事例Ⅰ 過去の解答には横串だけじゃ足りなかった」でした。

  • 第1問(設問1):強みの要素をまとめて、より多面的に多く入れられるか。
  • 第1問(設問2):失敗要因をまとめるのもパターン化。知識ワードが得点ポイント。
  • 第2問(設問1):過去の失敗の反省から与件をまとめて、多面的に助言する。
  • 第2問(設問2):組織と戦略の融合問題。それぞれで要素を書いて掛け合わす。 
  • 第3問:与件にそった人的資源の助言を行う。 

 

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