本番は一人の力でやりとげるしかない。でも周りにいる大切な人の助けがあってこそだと思う。
おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
みなさんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は「平成30年度 事例Ⅰ 与件を先読みした類推力と知識が試された」です。
- 試験を受けるのは一人、でも周りの支えがあるはず
- 市場を選択の競争戦略の第1問
- 最終消費者市場の知識を解答する第2問の設問1
- 複写機製品事業から複数段落を対応づけられたかどうかの第2問の設問2
- 混成チームとは何かを追求したい第3問
- 人事施策は何が当てはまるのかを思考する第4問
- 平成30年度の事例Ⅰのモデル企業
- 問題に対応した書籍紹介
- 本日のまとめ
まずは平成30年度事例Ⅰの記事からです。
「平成30年度 事例Ⅰ設問解釈してますか?これも研究開発型です。」
「平成30年度 事例Ⅰ 気持ち悪さを気持ち良さにする技術」
「平成30年度 事例Ⅰ与件はあいまいだが、答えることはオールドファッション」は下記です。
試験を受けるのは一人、でも周りの支えがあるはず
合格者体験記を読んでいました。
難関資格試験を突破するにあたっては、得るものが大きい分、
失うことも大きくなってしまうものです。
自分が何でも出来る完璧な人間でもなければ、能力が人より飛びぬけて高いわけでもない。
何かに集中して専念するには、その分失う犠牲はつきもの。
事例Ⅰで言えば機能別組織と同じような。
機能別組織のメリットは、専門性・効率性、大局的で迅速な意思決定、経営資源が分散していないこと。
まさに、あれもこれもと色々な教材に手を出さない。
やると決めた課題に専念する。
時間がないのであれば、過去問を中心とした取り組み。受験校の教材を中心とした取り組み。やり方は違えど差別化集中戦略です。
その代償として、大事な人との連帯感が損なわれモラールの低下があります。
自分のこと好きだよね。自分のことしか考えていない。
一人で生きているわけではないので、周り巻き込むのであれば、
それなりの配慮と覚悟が必要だと思います。
ちなみに、昨年度の合格者の方はいわゆるこの夏は家族サービスができているんでしょうか。
たぶん今年も合格したらで色々と活動して忙しくなって、家族サービスが出来てない人も多いような。
「は?受かってもメリットないじゃん。」と思われないように。
となると、今月中には夏の思い出を少しでも作らないと。
受験生の方は9月10月は勝負の時なので、そろそろ大事な選択と決断が必要になってくる時期です。
市場を選択の競争戦略の第1問
今回は平成30年度事例Ⅰの解答例まで見ていきます。
受験勉強中の2019年2月と4月に解いた解答をもとに解答例を作成します。
標準的な時間配分。設問解釈10~15分、概要把握15~20分、対応付け5分で、40分経過。残り最大40分。1問8分ぐらいです。
※設問、【出題の趣旨】、<対応付ける段落>、「キーワード・センテンス」『1次知識』(解答例)の順で1問ごとにみていきます。
第1問(配点20点)
研究開発型企業であるA 社が、相対的に規模の小さな市場をターゲットとしてい
るのはなぜか。その理由を、競争戦略の視点から100 字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
研究開発型企業であるA 社のターゲット市場が小規模市場である理由を、競争戦略の視点から分析する能力を問う問題である。
→追加情報はなし。
<対応付けた段落>
第1・2・4・11段落と広く浅く対応付け。
「キーワード・センテンス」
第1段落:独自で開発、特化、研究開発中心の企業、独自で開発、多様で幅広い製
第2段落:高精度の製品開発、売上の8 割近くを<主力取引先向け電子機器製造>に依存。
第4段落:ニッチ市場に向けた製品を試行錯誤を重ねながら開発。
第11段落:時流を先読みし先進的な事業展開
『1次知識』
競争戦略、競争優位性、差別化戦略、集中戦略。
コストリーダーシップ戦略は、中小企業のA社で使うことはないでしょう。
競争回避の戦略。
(解答例)
(a)ニッチ市場に向けた製品開発に絞り込み、他社との差別化⑥を図る為。環境変化が激しく取引先への依存関係が強い状態①から、研究開発力の強化⑥に特化①し、多様で幅広い高付加価値製品を開発し、時流を先読みした事業行う①為。14点
(b)同業社の多くが撤退する中、ニッチ市場に絞り差別化集中戦略⑥をとり、大手との競争回避④し、研究開発⑥に経営資源を集中させて③開発力を高め、独自で開発できる①多様で幅広い製品開発を実現し競争優位性の構築③を図る為。20点
→(a)は2019年2月、(b)は2019年4月の解答です。
(b)は各予備校の解答などの解答解説を読み込み、既に4回ぐらいやりこんだあとの解答です。
かなり初見の解答からはいじくりこんじゃってます。ふぞろいは出版前の時期に解いた解答です。
今更ながらふぞろい採点もしてみました。
本試験は1発勝負なので、再現答案であったり初見で解いた時の解答を大事にすべきです。
→第1問は知識と与件を使って解答。知識の部分に加点要素が高かった。
最終消費者市場の知識を解答する第2問の設問1
第2問(配点40点)
A 社の事業展開について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
A 社は「創業」以来、<最終消費者>に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A 社の人員構成から考えて、その理由を100 字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
A社が最終消費者市場向けの製品開発に積極的に取り組んでこなかった理由を、人員構成の視点から分析する能力を問う問題である。
→特段追加情報無し。
<対応付ける段落>
第1・7段落
「キーワード・センテンス」
第1段落:生産を<他社>に委託し、販売も信頼できる<複数のパートナー企業>に委託している
第7段落:「約50 名」の社員のうち、<技術者>が9 割近くを占めている、社員の大半は技術者
『1次知識』
<最終消費者>BtoC、BtoB
(解答例)
(a)社員のうち技術者が9割を占め⑥、研究開発に特化して、生産や販売を他社に外部委託する③ことで、コア技術を磨き上げて、主要取引先とは電子機器製造、それ以外とは共同プロジェクトにより高精度の製品開発できた為。9点
(b)約50名のほとんどが正規社員で、技術者が9割を占める⑥研究開発型企業で、生産や販売を他社に委託し③、研究開発に経営資源を特化し②、時流を先読みした先進的な製品開発を進めて、付加価値を提供できている為。11点
→微妙な解答?です。与件文から抜いてきて、プラス知識は変わらないです。
最終消費者市場の知識があるか、書けるかがポイントでした。
顧客ニーズの収集の視点が欠けてました。
複写機製品事業から複数段落を対応づけられたかどうかの第2問の設問2
第2問(設問2)
<A 社長>は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、<複写機関連製品事業>に着手した。「それ以前」に同社が開発してきた①製品の事業特性と、②複写機関連製品の事業特性には、どのような違いがあるか。100 字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
A社が経営危機に立ったとき展開した事業と、それ以前の事業の特性を分析し、その違いを明らかにする能力を問う問題である。
→追加情報無し。
<対応付ける段落>
第1・4・5・11段落
「キーワード・センテンス」
第1段落:複写機の再生品や複合機内部の部品、複写機用トナーなどの消耗品
第4段落:継続的に安定した収入源としてA 社の事業の柱となる製品を生み出すこともかなわなかった。売切り型の事業、新規事業開発に取り組んだ、複写機関連製品事業
第5段落:<大口顧客>は事務機器を販売していた<フランチャイズ・チェーン>
第11段落:<取引先>や<顧客>などの声を反映させていた受け身の製品開発の時代
対応付ける段落が多いです。
『1次知識』
製品の事業特性。消耗品、キャプティブ価格戦略。
消耗品で継続的取引。どちらかというと事例Ⅱのマーケティングの知識。
(解答例)
(a)以前は売切り型の事業④で開発した製品を販売し取引が完了していたが③、複写機関連製品事業は顧客のニーズに柔軟に対応し様々な新商品開発にチャレンジし、消耗品の販売により顧客との継続的な取引関係築いた④こと。11点
(b)以前は開発した製品を販売した時点で取引が終了する③売切り型の事業特性④だったが、複写機関連製品事業は複写機の再生やトナーなどの消耗品で顧客との継続的に④安定した③取引を実現し競争優位性を構築できたこと。14点
→対応付けられる段落が1番多かった問題。与件全体を通しての「切り貼り」の編集力が試された問題。理論想定の能力が試されているいっても一定の編集力が求められます。
混成チームとは何かを追求したい第3問
第3問(配点20 点)
A 社の組織改編にはどのような目的があったか。100 字以内で答えよ。
【出題の趣旨】
A社の組織改編が、どのような目的 をもって実施されたかについて明らかにする能力を問う問題である。
→追加情報無し。
<対応付ける段落>
第6・8段落
「キーワード・センテンス」
第6段落:<A 社長>は、<後進>に事業を委ねる条件が整うまで自らが先頭に立って、新規事業や製品の開発にチャレンジし続けているのである。
第8段落:専門知識別に部門化、<製品開発部門>、<品質管理部門>、<生産技術部門>に編成替えをし、<各部門を統括する部門長を役員>が兼任した。
<製品開発部門>は、<環境エネルギー事業の開発を推進するグループ>、<法人顧客向けの精密機械を開発するグループ>、<LED 照明関連製品を開発するグループ>に分けられ、<電子回路技術、精密機械技術、ソフトウェア技術などの専門知識を有する技術者>をほぼ同数配置した混成チームとした。
『1次知識』
(解答例)
(a)事務機器市場が大きく変化する中③、製品開発部門を開発グループごとに分け、専門知識を有する技術者を同数配置した混成チーム④とし、高次学習を促進させて、先進的な製品の開発を行い⑤、後進を育成②して事業継承すること。14
(b)目的は専門知識別に部門かさせた組織から製品開発部門のグループに専門知識を持つ技術者を混成チーム④として配置し、状況変化に①柔軟・迅速に対応できる体制④として、研究開発を行い②、部門長を後進として育成②を図った為。13
→混成チームにしたことの説明と、その理由や効果を述べていく理論展開が必要だった。
人事施策は何が当てはまるのかを思考する第4問
4問(配点20 点)
A 社が、社員のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、金銭的・物理的インセンティブの提供以外に、どのようなことに取り組むべきか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ。
【出題の趣旨】
従業員の大半を占める技術者のチャレンジ精神や独創性を維持していくために、A 社は、どのような施策に取り組むべきか、助言する能力を問う問題である。
→金銭的・物理的インセンティブの提供以外にのコメントがない。
<対応付ける段落>
第9・10・11段落
「キーワード・センテンス」
第9段落:人材は重要な経営資源、人事制度
第10段落:<戦力である技術者>に新卒者を原則採用せず、地元出身のUターン組やI ターン組の中途採用者だけに絞っていることである。賃金は、設立当初から基本的に年功給の割合をできるだけ少なくして、個人業績は年二回の賞与に多く反映させるようにしてきた。近年」、いっそう成果部分を重視するようになり、年収ベースで二倍近くの差が生じることもある。それにもかかわらず、A 社の離職率が地元の同業他社に比べて低いことは、実力主義がA 社の文化として根付いていることの証左である。とはいえ、その一方で家族主義的な面も多くみられる。社員持株制度や社員全員による海外旅行などの福利厚生施策を充実させているし、「1990 年代半ば」には、技術者による申請特許に基づく装置が売れると、それを表彰して売上の1 %を報奨金として技術者が受け取ることができる制度を整備し運用している。
第11段落:伝統的な家族主義的要素をも取り入れて成長を実現している企業。
第10段落は全体です。
『1次知識』
成果主義・期待理論。能力開発、評価、モラール、権限移譲、組織活性化。
(解答例)
(a)新卒採用を行い、A社の組織文化を継承する人材を計画的に育成し④、新しい風を取り入れて組織活性化②させる。チーム単位での成果による評価制度を導入し、組織の連帯感の醸成、公平感により社員が納得しモラール向上③する。9
(b)グループ異動により新しい製品開発にチャレンジする機会を与える。新卒採用で多様な人材を取り入れ組織活性化②させる。各グループに権限委譲④し内発的動機付けを高める、チームによる評価制度により組織の連帯感を高める。6
→能力開発、評価、自由裁量、モラール、組織活性化 の知識で解答したい。
人的資源管理の問題はサービス問題でありながら、意外と点数が伸びないこともある。
今回は採点にあたって「2019年度版ふぞろい12」を久々に参考にしましたが、
事例Ⅰが70点以上を超えて出来ている人が多いですね。はあ~。
とはいえ、合格者がみんなかなりハイレベルトと尻込みしない方がいい。
平成30年度の事例Ⅰが難しいと思ったのは自分だけでしょうか。
そんなことはないです。
来年は自分が情報発信をする側、教える側に立っているイメージをそろそろもった方がいいです。
合格したというイメージを持つことは重要です。
平成30年度の事例Ⅰのモデル企業
平成30年度の事例Ⅰのモデル企業。
TBC受験研究会のHPのブログに取材記事が書かれてます。
毎年試験日の翌日あたりに出張されてます。
https://tbcg.co.jp/koushi-blog/
鹿児島県にある、研究開発型の企業です。
なんでこんなに早く見つけられるんでしょうか。
試験後には情報が飛び交いますね。
LED照明、太陽発電型追尾システム
人口衛生自動追尾システム、ドローンなどの製品を取り扱ってますね。
総合開発力、挑戦、国内外に販売パートナーを持つグローバル企業。
新卒採用は現在は行っておりません。
実際の世界観は広いですね。
製品情報や企業情報をみてみても面白いです。
荷物を運ぶドローン
技術力の進歩
「時流を先読みした先進的な事業展開」
このフレーズが好きでいれたくなっちゃいますが。
「与件を先読みした類推力による知識と理論展開。」
問題に対応した書籍紹介
平成30年度(2018年度)の解答解説が掲載されている書籍です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
まとめシート 平成30年度編:2次試験 ¥550
ふぞろいな合格答案12
平成30年度試験(2018年度試験)の答案分析と再現答案 ¥2,640
ふぞろいな再現答案5、再現答案5 ¥2,640
平成30年度と平成29年度試験(2018年度と2017年度試験)の答案分析と再現答案
事例問題攻略マスター(第2版)¥3,080
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。A5版と小さく持ち運びに便利。
EBAメソッド で「読み・解く合格答案作成講座 ¥2,640
メソッドと平成30年度の事例問題は網羅されてます。
LEC平成30年度第2次試験 模範解答解説集 ¥1,100
TBC速習2次過去問題集 平成28~30年度 ¥4,180
本日のまとめ
- 9月10月は勝負の時。そろそろ大事な選択と決断が必要になってくる時期。
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本試験は1発勝負なので、再現答案であったり初見で解いた時の解答を大事にすべき。
-
第1問は、知識と与件を使って解答。知識の部分に加点要素が高かった。
- 第2問(設問1)は、最終消費者市場の知識を書けるか。顧客ニーズの収集の視点。
- 第2問(設問2)は、与件全体を通しての「切り貼り」の編集力が試された。
- 第3問は、混成チームにしたことの説明と、その理由や効果を述べていく。
- 第4問は、能力開発、評価、自由裁量、モラール、組織活性化 の知識で解答したい。加点要素を外すと点数が伸びない。
- 来年は自分が情報発信をする側、教える側に立っているイメージをそろそろもった方がいい。
- 与件を先読みした類推力による知識と理論展開。
2次筆記試験まであと68日。
受験生への相談や問い合わせにも、積極的にお答えしていこうと思ってます。
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