おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
みなさんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は「平成29年度 事例Ⅲ 切り分けと分かり易い文章が勝負の分かれ目Ⅲ」です。
- 生産管理の切り分けと文章の伝わりやすさで差が付く第1問
- 課題はあいまいで対応策は具体的に書く、第2問
- 入れるべき要素の選択しだいの、第3問
- 動揺せずに総合力で解答する、第4問
- 問題に対応した書籍紹介
- 本日のまとめ
まずは、平成29年度 事例Ⅲの過去記事です。
「平成29年度 事例Ⅲ いきなり!生産管理 出現数は抑えて希少性を維持」
「平成29年度 事例Ⅲ 曖昧な大人の段落の関係に気をつけろよ」
「平成29年度 事例Ⅲ 迷わず、社長のやりたいことをよみ課題を達成する。」
です。
生産管理の切り分けと文章の伝わりやすさで差が付く第1問
今回は平成29年度事例Ⅲの解答例まで見ていきます。
受験勉強中の2018年9月と2019年4月に解いた解答をもとにふぞろい採点しながらみていきます。
標準的な時間配分。設問解釈10~15分、概要把握15~20分、対応付け5分で、40分経過。残り最大40分。設問は4つなので1問10分ぐらいです。
※設問、【出題の趣旨】、<対応付ける段落>、「キーワード・センテンス」『1次知識』(解答例)の順で1問ごとにみていきます。
解答例は、(a)は2018年9月、(b)は2019年4月の解答です。
2018年は悔しくも1次試験で敗退する中2次試験の勉強を続けて現在地を図った解答。
設問は全部で4題。
第1問140字、第2問120字、第3問160字、第4問140字と問題数が少ない分、各設問の文字数は多くなってます。
設問解釈時にお伝えもしておりますが、最大の特徴は、以下の3つです。
・第1問に定番のSWOTの問題がない。
・第1問と第2問の切り分けが難しい?
・第3問はホームページ活用、第4問は製品とサービスでマーケティングの問題?
第1問(配点30点)
CNC 木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題とその対応策を140 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
新規事業であるCNC木工加工機の生産販売を進めるために必要な生産管理上の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。
→追加情報無し。
・第1問に定番のSWOTの問題がない。
通常は、第1問でS強みとW弱みを解答して、その強みの活用と、弱みの克服をするのが、最後の問題です。
この設問の出題方法は他の年度ではないパターン。
<対応付けた段落>
第5・7・8・9・14段落。
「キーワード・センテンス」
第5段落:<製造部>は<機械加工班>と<製缶板金班>で構成され。
<機械加工班>はNC旋盤、汎用旋盤、フライス盤などの加工機械を保有し、<製缶板金班>はレーザー加工機、シャーリング機、プレス機、ベンダー機、溶接機などの鋼板加工機械を保有している。
第7段落:<機械加工班><製缶板金班>
第8段落:<顧客>は<古くから取引関係がある企業>が多く、受注品の多くは<各顧客>から繰り返し発注される部品
受注後の加工内容などの具体的な打ち合わせは、各機械を担当する作業者が顧客と直接行っている。
第14段落:CNC 木工加工機の生産は、<内部部品加工>を<機械加工班>で、<制御装置収納ケースなどの鋼板加工と本体塗装>を<製缶板金班>でそれぞれ行い、それに<外部調達したCNC 制御装置を含めて組み立てる>。これまで<製造部>では専任担当制で作業者間の連携が少なかったが、この新規事業では、<機械加工班>と<製缶板金班>が同じCNC 木工加工機の部品加工、組み立てに関わることとなる。なお、最終検査は<設計担当者>が行う。
『1次知識』
生産管理:生産計画と生産統制。
拡大するとQCD 質Q:quality、原価C:cost、数量及び納期 D :delivery
需要予測、生産計画、生産実施、生産統制
経営管理のアッパーレベルの課題です。
(解答例)
(a)課題は機械加工班と製缶板金班が連携⑦して部品加工・組み立てを行い生産計画②に基づいて効率化を図ること、多能工化により加工精度の向上を図ること。対応策は生産計画⑦より進捗・現品・余力管理を行い生産統制⑤を図る各専任作業者の操作方法等の技術情報を標準化・マニュアル化⑤して技能を平準化する。26点?
→要素ははいっているものの、課題と対応策の連動性が感じられない。
(b)機械加工班と製缶板金班⑦の全体を通した生産計画を作成②して、生産統制②して部品加工・組み立てる事が課題。ロットサイズが大きい機械加工班と多品種少量の製缶板金班⑤の工程計画により進捗管理⑤する。工数計画により生産能力による負荷を分析し余力管理を行う、結果、短納期化、小ロット化でコスト削減する。21点
→ほかの過去問の知識と混在。与件を解釈した要素をいれて解答しないと的外れな解答になる。
切り分けと文章の伝わりやすさが加点されているものと推測。
課題はあいまいで対応策は具体的に書く、第2問
第2問(配点20点)
C社社長は、現在の生産業務を整備して生産能力を向上させ、それによって生じる余力をCNC 木工加工機の生産に充てたいと考えている。それを実現するための課題とその対応策について120 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
新規事業であるCNC木工加工機の生産について、現在の生産能力の向上によって対応するために必要な生産業務上の課題を把握し、解決する能力を問う問題である。
→生産業務上の課題。生産業務の問題でした。
第1問は生産管理で、第2問は生産業務で切り分ける。
この切り分けが初めは混乱しました。
<対応付けた段落>
第6段落のみ。
「キーワード・センテンス」
第6段落:C社では「創業」以来、顧客の要求する加工精度を保つため機械の専任担当制をとっており、そのため担当している機械の他は操作ができない作業者が多い。また、各機械操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない。
『1次知識』
標準化・マニュアル化・共有化。
機械の専任担当制→多能工化
(解答例)
(a)課題は作業者の能力開発による多能工化②により余力を生むこと。受注後の打ち合わせの情報共有①による生産性の向上②。対応策は標準化・マニュアル化⑤した技術情報を共有化し各作業担当者が複数の機械を使用できるようにする①。班ごとに打ち合わせをし情報共有化する。11点
→課題と対応策に違うことは書くものの、ある程度同じようなことを書く。
課題はあいまいにかいて、具体策を多めに書く。
(b)機械加工班と製缶板金間の作業者間で連携し、同じCNC木工加工機の部品加工・組立て行う事が課題。各機械の操作方法や加工方法の技術情報を全員で共有化し、標準化やマニュアル化⑤を進める。結果生産リードタイムの短縮により生産性が向上①する。6点
→これがいわゆる大外し。
レイア―を間違えて答えるべき要素を解答しないと大幅失点。
入れるべき要素の選択しだいの、第3問
第3問(配点20点)
C社では、ホームページを活用したCNC木工加工機の受注拡大を考えている。展示会での成功を参考に、<潜在顧客>を獲得するためのホームページの活用方法、<潜在顧客>を受注に結び付けるための社内対応策を160 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
新規事業である CNC 木工加工機の受注拡大に向けて、展示会での成功を参考とした<潜在顧客>を獲得するホームページの活用方法と、その<潜在顧客>を受注に結び付ける社内対応策について、提案する能力を問う問題である。
→ほぼ一緒です。
<対応付けた段落>
第2・3・9・12・13段落。
「キーワード・センテンス」
第2段落:CAD等のIT の技能を備えた社長の長男(現在常務)>が入社し、設計のCAD化や老朽化した設備の更新など、生産性向上に向けた活動を推進してきた。
設計のCAD化、老朽化した設備の更新、生産性向上に向けた活動を推進
第3段落:C社の組織は、<社長>、<常務>の他、<経理担当1名>、<設計担当1名>、<製造部20名>で構成されている。<顧客>への営業は<社長>と<常務>が担当している。
第9段落
⑨新規事業は、3次元CADで作成した3次元データを用いて、3次元形状の加工ができる小型・精密木工加工機「CNC木工加工機」の事業化である。この新規事業は、異業種交流の場で<常務>が耳にした木材加工企業の話がヒントになり進められた。「木工加工機は大型化、NC化が進み、加工機導入の際には多額の投資を必要とするようになった。以前使っていたならい旋盤のような汎用性があり操作性が良い加工機が欲しいが、見つからない」との情報であった。ならい旋盤とは、模型をなぞって刃物が移動し、模型と同じ形状の加工品を容易に再現できる旋盤である。
第12段落:「展示会」では、特徴である精密加工の内容を<来展者>に理解してもらうため、複雑な形状の加工を容易に行うCNC 木工加工機の実演を行ったが、それによって多くの来展者の注目を集めることができた。特に、<NC機械を使用した経験のない家具や工芸品などの木工加工関係者>から、プログラムの作成方法、プログラムの提供の可能性、駆動部や刃物のメンテナンス方法、加工可能な材質などに関する質問が多くあり、それに答えることで、CNC木工加工機の加工精度や操作性、メンテナンスの容易性が<来展者>から評価され、C社内では大きな手応えを感じた。そして展示会後、<来展者2社>から注文が入り、本格的に生産がスタートしている。このCNC木工加工機については、各方面から注目されており、「今後」改良や新機種の開発を進めていく予定である。
第13段落:「展示会」での成功を参考に、「現在」は会社案内程度の掲載内容となっているホームページを活用して、インターネットで広くPRすることを検討している。
『1次知識』
ホームページを活用、事例Ⅱのマーケティング施策
(解答例)
(a)HPの活用方法はCNC木工加工機の実演の動画を掲載④して取り扱い方法を分かり易く説明する。よくある質問に答えるページを作成して③加工精度・操作性・メンテナンスの容易性③をアピールする。社内対応策は営業力の強化②の為、製造部から営業部に異動させて技術営業を行い新規顧客獲得の営業、機械商社等販売チャネルとノウハウの習得を行う。12点
→ホームページの活用方法はある程度入ってはいるが、社内対応策が漠然して上手く入っていない。
(b)ホームページにNC機械を用いて、複雑な形状の加工を容易に行う実演動画を掲載④する。プログラムの作成方法やメンテナンス方法などの質問に答えるページを作成③する。社内では、常務の設計のCADのノウハウをDB化し情報共有し、誰でも操作ができるようにする。顧客の質問に誰でも答えられるようにし②、営業人材強化②して新規顧客獲得を図る。11点
→全体的に説明が多く、ポイントとなる用語が少なめ。
入れるべき用語を誤ると加点が薄くなる可能性がある。
動揺せずに総合力で解答する、第4問
第4問(配点30点)
C社社長は。「今後」大きな設備投資や人員増をせずに、高付加価値なCNC木工加工機事業を進めたいと思っている。これを実現するためには、製品やサービスについてどのような方策が考えられるか、140 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
経営資源の脆弱なC社が、高付加価値なCNC木工加工機事業を推進するための製品やサービスに関する方策について、提案する能力を問う問題である。
→大きな設備投資や人員増をせずが、 経営資源の脆弱なC社に刺し変わってます。
<対応付けた段落>
第1・4・9・10・段落の強みの。
「キーワード・センテンス」
第1段落:金属部品の加工。受注のほとんどが<顧客企業>から材料や部品の支給を受けて加工を担う賃加工型の下請製造業
第4段落:「近年」、売り上げの中心となっている<産業機械・プラント機器の部品加工>では、受注量が減少し、加えて受注単価の値引き要請も厳しい状況が続いている。その対応として、「現在」C 社では新規製品の事業化を進めている。
第9段落:⑨新規事業は、3次元CADで作成した3次元データを用いて、3次元形状の加工ができる小型・精密木工加工機「CNC木工加工機」の事業化である。この新規事業は、異業種交流の場で<常務>が耳にした木材加工企業の話がヒントになり進められた。「木工加工機は大型化、NC化が進み、加工機導入の際には多額の投資を必要とするようになった。以前使っていたならい旋盤のような汎用性があり操作性が良い加工機が欲しいが、見つからない」との情報であった。ならい旋盤とは、模型をなぞって刃物が移動し、模型と同じ形状の加工品を容易に再現できる旋盤である。
第10段落:<常務>と<設計担当者>が中心となり加工機の設計、開発を進め、<外部のCNC制御装置製作企業>も加えて、試作機そして1号機の実現にこぎつけた。
第11段落:課題:新規事業の販路開拓
①<木工加工関連企業>とのつながりも情報もない。
②特に新規顧客獲得のための営業活動を積極的に行った経験がない。
③販売やマーケティングに関するノウハウがない。
④機械商社などの販売チャネルない。
第12段落:複雑な形状の加工を容易に行うCNC 木工加工機の実演を行ったが、それによって多くの来展者の注目を集めることができた。特に、<NC機械を使用した経験のない家具や工芸品などの木工加工関係者>から、プログラムの作成方法、プログラムの提供の可能性、駆動部や刃物のメンテナンス方法、加工可能な材質などに関する質問が多くあり、それに答えることで、CNC木工加工機の加工精度や操作性、メンテナンスの容易性が<来展者>から評価され、C社内では大きな手応えを感じた。そして展示会後、<来展者2社>から注文が入り、本格的に生産がスタートしている。このCNC木工加工機については、各方面から注目されており、「今後」改良や新機種の開発を進めていく予定である。
第15段落:これまで加工賃収入が中心であったC社にとって、付加価値の高い最終製品に育つものとしてCNC 木工加工機は「今後」が期待されている。
『1次知識』
高付加価値、CAD、顧客ニーズ、メンテナンス事業、アフターサービス
営業、販売力、マーケティング
(解答例)
(a)製品面での方策は3次元CAD①により汎用性と操作性が良いならい旋盤の様な製品を設計製造し②、顧客ニーズを営業により取得して⑥柔軟に対応していく。サービス面の方策は加工方法の説明をメール等で詳細に回答する。アフターサービスの充実⑤と使用後のアンケート調査により改善を次の商品開発に繋がていく。14点。
→高付加価値化の用語が抜けている。顧客ニーズとアフターサービスの視点で加点。
(b)製品はならい旋盤の様な汎用性があり操作性の良い加工機など顧客ニーズを捉えた製品を提供⑧し、部品加工から組み立てまで行い高付加価値化③させていく。サービスは顧客の要望に応えて①、メンテナンスやアフターサービス⑧、定期的に展示会を行い、顧客の声を拾い製品開発に活かして営業力強化し販路開拓する。20点
→事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのミックス問題もは出てきてます。
焦らずに総合力で解答する。
→(a)は2018年9月、(b)は2019年4月
(a)63点
(b)58点
実際はもっと採点基準が厳しいと思える事例。
全ての問題に最低5割で乗り切り、レイア―をはずさないで、
適切な答えを解答することが重要。
以上、不完全な解答例と分析まででした。
振り返ってみるとしれっとシュレッダーしたくなるような、過去の解答。
試験委員のまとめ記事。
出題委員の木内正光教授の著書。
「生産現場構築のための生産管理と品質管理」
問題に対応した書籍紹介
平成29年度(2017年度)の解答解説が掲載されている書籍です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC 定番の過去5年間の過去問の解答解説
ふぞろいな合格答案10
平成29年度試験(2017年度試験)の答案分析と再現答案 ¥2,640
ふぞろいな再現答案5、再現答案5
平成30年度と平成29年度試験(2018年度と2017年度試験)の答案分析と再現答案
事例問題攻略マスター(第2版)
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。A5版と小さく持ち運びに便利。
TBC速習2次過去問題集 平成28~30年度
本日のまとめ
今回の記事は いかがでしたでしょうか。
最後に本日のまとめとなります。
「平成29年度 事例Ⅲ 切り分けと分かり易い文章が勝負の分かれ目」
- 切り分けと文章の伝わりやすさが加点されている、第1問。
-
課題と対応策に違うことは書くものの、ある程度同じようなことを書く。
課題はあいまいにかいて、具体策を多めに書く、第2問。
- 入れるべき用語を誤ると加点が薄くなる可能性がある、第3問。
- 事例Ⅰ~Ⅲの要素が混在は焦らず総合力で解答する、第4問。
2次筆記試験まであと33日。
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