おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
皆さんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は事例ⅠH27年度の最後「2次試験対策 事例Ⅰ H27年度 戦略なのか組織なのか」です。
まずは過去記事です。「2次試験対策 事例Ⅰ H27年度 何が本業かわかりづらいA社」「2次試験対策 事例Ⅰ H27年度 コア技術の意味」「2次試験対策 事例Ⅰ H27年度 多角化したら組織はどうなる?」は下記です。
設問解釈と与件文はこちらで確認してから、今回の記事をお読みください。
今回は事例ⅠH27年度の最後となります。解答例まで見ていきます。
受験勉強中の2019年6月頃ちょうど1年前に解いた解答をもとに解答例を作成します。
ここまで、設問解釈15分、概要把握20分、 対応付け5分で、40分経過。
のこり最大40分。1問8分ぐらいです。
1問8分。相変わらず厳しい時間の制約です。
※設問、【出題の趣旨】、<対応付ける段落>、「キーワード・センテンス」『1次知識』(解答例)の順で1問ごとにみていきます。
外部環境を分析する
第1問<配点20点>
ゲートボールやグラウンドゴルフなど、A 社を支えてきたスポーツ用品事業の市場には、どのような特性があると考えられるか。100 字以内で述べよ。
→市場分析。SWOT分析。機会・脅威。外部環境分析。経営戦略問題。
5フォース、参入障壁の知識。
【出題の趣旨】
第1 問(配点 20 点)
創業以来、A 社の経営を支えてきたスポーツ用品事業の市場特性について、基本的理解力・分析力を問う問題である。
→追加情報なし。
<対応付けた段落>
第2・3・4・6・7段落と広く浅く対応付け。
「キーワード・センテンス」
第2段落「いち早く流行の兆しをとらえた」
第3段落「もくろみどおりその「市場」は広がった。」
第4段落「台湾製や中国製の廉価なシャトルコックが輸入されるようになると、A社の売上は激減」
第6段落「 急速に伸長」「ゲートボールの人気に陰りがみられるようになったために、次なるスポーツ用品事業の模索が始まった。」
第7段落「<シニア層>をターゲットにしたグラウンドゴルフ市場に参入し、国内市場シェアの60%以上を占めるようになった。」
『1次知識』
5フォース、参入障壁の知識。
(解答例)
特性は外部環境の変化により市場が変化しやすく、長期的に案的した事業を継続することが難しい。一方、消費者ニーズや流行を先読みして参入障壁を築けた場合には先行者利益を獲得できる市場である。
→結構知識で書かないと埋まりませんね。対象となる段落が複数に渡っていることから与件の抜きでは対応が難しい。
戦略か組織か
第2問<配点20 点>
A社は、「当初」、「新しい分野」のプラスチック成形事業を<社内>で行っていたが、その後、<関連会社>を設立し移管している。その理由として、どのようなことが考えられるか。120 字以内で述べよ。
→経営戦略と組織構造の両方の要素を含んだ問題。識別が難しい。
100字より20字多いのでその20字で追加要素を入れるか、前提説明を長めにとるか。
「新しい分野」の事業を<社内>から<関連会社>に移管した理由。
【出題の趣旨】
第2 問(配点 20 点)
従前、社内の一事業部門として運営してきたプラスチック成形事業を、関連会社に移管している理由について、分析力・課題発見力を問う問題である。
→追加情報なし。
<対応付けた段落>
第4・5・6段落と対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第4段落「ブロー成形技術」「成形技術の高度化が、その後、A 社再生への道を切り開くことになる。」
第5段落「ブロー成形技術の高度化に取り組む」
「新規事業は、技術難度はもちろん、<自社ブランドで展開してきたバドミントン事業>とは、事業に対する考え方そのものが異なっていた。」
「当初」社内で行っていた新規事業を、<関連会社>として独立させることにした。」
第6段落 「本格的に稼働した新規事業は、A社社長の期待以上に急速に伸長」
『1次知識』
経営戦略と組織構造。事業への依存体質。
権限移譲。迅速な意思決定。責任権限の明確化。
(解答例)
理由は、新規事業は既存事業より技術難度高く事業に対する考え方が異なっていた為。関連会社に権限委譲して迅速な意思決定により専門性・効率性を高めて、独自の技術・ノウハウを蓄積して組織文化を形成し、早急に事業を成功させて経営危機脱却する為。
→120字、長い。最後の20字分が埋めるのが苦労します。半分近く与件の文章を抜いてまとめて、プラス戦略と組織の知識で肉付け。
この問題も戦略か組織か
第3問<配点20点>
<A社>および<関連会社>を含めた<企業グループ>で、大型成形技術の導入や技術開発などによって、<プラスチック製容器製造事業>の売上が60%を占めるようになった。/そのことは、「今後」の経営に、どのような課題を生み出す可能性があると考えられるか。中小企業診断士として、100 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
第3 問(配点 2 0 点)
A社グループの売上の 60 %を占めるまでに成長した事業が、今後 A 社グループの経営に対してどのような課題を生じさせる可能性があるかについて、分析力・課題発見力を問う問題である。
→追加情報なし。
<対応付けた段落>
第1・7段落を対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第1段落「売上構成比は、<プラスチック製容器製造>が60%」
「ここ5年」でみると、売上構成比はほとんど変わらず、業績もほぼ横ばいで推移しているが、決して高い利益を上げているとはいえない。」
第7段落「<自動車部品事業>拡大を追い風にして進めてきた成形技術の高度化や工場増築などの投資が功を奏し、<バスタブなど>の大型成形製品の注文を受けることができる体制も整って、A社グループの経営は比較的順調であった。」
『1次知識』
コア事業への依存体質。経営資源が分散。経営リスクが高まる。
(解答例)
課題はプラスチック製容器製造事業への売上依存体質から、他事業を成長発展させコア事業に育てる事。関連会社は別組織となり経営資源が分散しているので、新事業展開に経営資源を再配分して経営体制を構築する事。
→戦略要素でまとめましたが、組織の要素でもまとめられる設問です。
成果主義は悪いことか
第4問<配点20点>
<A社>および<関連会社>を含めた<企業グループ>で、成果主義に基づく賃金制度を、あえて導入していない理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
第4 問(配点 20 点)
A社グループが成果主義型賃金制度を導入しない理由について、分析力を問う問題である。
→そのまま、成果主義賃金制度を導入しない理由。
<対応付けた段落>
第9段落を中心として、第4段落も対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第9段落「従業員のほとんどが正規社員」
「近年になってボーナスなどでわずかに業績給的要素を取り入れつつあるが、給与や昇進などの人事制度は、ほぼ年功ベースで運用されている。」
第4段落「成形技術の高度化が、その後、A 社再生への道を切り開くことになる。」
『1次知識』
→成果主義のデメリットの知識。短期的な思考に陥る。ベテラン従業員が給料体系が変わることでモチベーションが低下する。組織の連帯感が薄れること。
(解答例)
理由は事業が違う正規社員を長期的な視点で公平で納得感がある評価制度により評価して短期志向を回避させてモラール維持する為。組織の連帯感を醸成することで、技術やノウハウを蓄積して技術の高度化を図る為。
→成果主義がなぜなじまないのか。成果主義のデメリットの知識を使って解答して、最後は与件の文章から占めました。
またまた知識問題
第5問<配点20点>
<A社>の<健康ソリューション事業>では、スポーツ関連製品の製造・販売だけではなく、体力測定診断プログラムや認知症予防ツールなどの<サービス事業>も手がけている。そうした<サービス事業>をさらに拡大させていくうえで、どのような点に留意して組織文化の変革や人材育成を進めていくべきか。中小企業診断士として、100 字以内で助言せよ。
→多角化を進めるためには、どのような組織文化の変革や人材育成をすればよいのか。
【出題の趣旨】
第5 問(配点 20 点)
プラスチック製造を主力事業としてきたA 社が、新規事業としてスポーツ関連のサービス事業をさらに拡大する際に、どのような点に留意すべきかについて、中小企業診断士としての助言能力を問う問題である。
→留意点を考慮しつつ、助言まで行う問題。
<対応付けた段落>
第1・8段落を対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第1段落「ここ5年でみると、売上構成比はほとんど変わらず、業績もほぼ横ばいで推移しているが、決して高い利益を上げているとはいえない。」
第8段落「<健康ソリューション事業>では、<シニア層>にターゲットを絞ることなく、体力測定診断プログラムなどのソフト開発にも着手しサービス事業を拡大して、グループ売上全体の16%を占めるまでに成長させたのである。」
『1次知識』
組織文化、人的資源管理の問題。第4問に続き知識で解く問題。
組織変革。変革とは経営陣の交代。組織構造の再編成。
埋没コスト、既得権益、成功体験、ゆでガエル、ルーティーン化、失敗を恐れる、低次学習。
人材育成の知識。OJT、Off-JT、外部研修。 組織活性化。
(解答例)
既存の組織文化に捉われないように、現経営陣の大量交代や組織構造の再編成を実施変革すること。計画的なOJTやOff-JTなどで能力開発し、外部との交流により組織活性化させ、新規事業に必要なノウハウを蓄積し収益拡大。
組織文化の変革と人材育成の論点をそれぞれ、1次の知識を活用してまとめたい。
全ての設問で知識が必要とされる問題です。
解答は昨年書いたものを元に練り直しましたが、昨年の時点とは大幅に変えてしまったものもあります。これはこれは結構なんでも書けちゃう問題が多く、解答のばらつきは出てきてしまうと思います。
与件を分析しましたが、与件より、設問解釈と知識想定で解答する問題が多いです。
タイムマネジメントからすると、解きやすい問題から解くのがセオリーです。
とはいえ、この年の問題は解きやすいと明確に言える問題がない。
結構現在的に難易度高いです。自分の得意不得意で解く順番を決めてもよいと思います。
設問解釈のトレーニングとして、何度もといてもよいと思います。
戦略なのか組織なのかで解答が割れる。
組織構造、組織文化、人的的資源管理、書く時のパターンを作っておいた方がよいです。
おまけ H27年度の事例Ⅰのモデル企業
事例H27年度の事例Ⅰのモデル企業様。
新商品のためのホームページがありましたので、ご紹介します。
HATACHI
2020年の時代の流れに合わせて、家で運動できる商品を取り揃えてます。
ステイホームでの運動不足のニーズに対応してますね。
問題に対応した書籍紹介
平成27年度(2015年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
これさえあればとりあえずの解答は入手できます。
ふぞろいな答案分析3
2014年と2015年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2014年と2015年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
TBC受験研究会
平成25年~27年度の過去問解説です。
本日のまとめ
- 事例Ⅰは設問解釈と知識想定で解答する問題が多い。
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設問解釈のトレーニングを徹底する。
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戦略なのか組織なのかで解答が割れる。
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組織構造、組織文化、人的的資源管理、書く時のパターンを作っておく。
※2次試験対策の記事は、複数年に渡り学習したきた自らの記録、各種学習参考書や過去問解説の情報、 勉強会や学習仲間とのやりとり、ブログなどさまざまな情報を元に、改めて2次試験の問題を振り返り受験生の勉強の参考になればと思い記事にさせて頂いております。
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