おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
みなさんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は「平成28年度 事例Ⅲ もう一度振り返るカット野菜ではもう迷わない」です。
まずは平成28年度事例Ⅲの過去記事です。
「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 カット野菜はどう料理するか?」
「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 問題点ばかりのC社を経営改善 」
「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 ”最も”効果的に実施 クレームの内容はいくつか?」
「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 高付加価値戦略」は下記です。
今回は平成28年度事例Ⅲの記事をブラッシュアップします。
標準的な時間配分。設問解釈10分、概要把握20~25分、対応付け5分で、40分経過。残り最大40分。1問10分ぐらいです。
4題の場合には時間的には余裕はありますが、1題にハマってはいけません。
※設問、【出題の趣旨】、<対応付ける段落>、「キーワード・センテンス」、『1次知識・ポイント』、(解答例)の順で1問ごとにみていきます。
解答例は、(ア)は2018年9月、(イ)は2019年5月に解いたときの回答から振り返ります。
短時間で要点をまとめる編集力思いきりの第1問
第1問(配点20点)
カット野菜業界におけるC 社の a 強みと b弱みを、それぞれ40字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
「X 農業法人時代」の事業経過、およびC 社の「現在」の事業内容を把握し、カット野菜業界におけるC 社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。
→前置きに「X 農業法人時代」の事業経過、およびC 社の「現在」の事業内容を把握し と追加で記載があります。
<対応付けた段落>
a強みは、第1・2・3・5段落と広く対応付けました。
b弱みは、第3・4段落。
「キーワード・センテンス」
第1段落:<野菜を栽培するX農業法人>から分離し、設立された企業。
主に量産される総菜などの原材料となるカット野菜を受注生産
第3段落:カット野菜は、<販売先>から要望される通年納品に応えるため、常に一定量の野菜を確保する必要がある。
第4段落:<X農業法人の100 %出資子会社>
原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナス、今でも改善されていない。
<X農業法人>から独立し改善に向けて努力しているものの、いまだに効果的な生産管理が組織的に行われていないことによる。
第5段落:「約半年間」の季節操業。「約3カ月」の休業期間が例年生じている。
<販売先>からは通年取引の要望がある。
『1次知識・ポイント』
→カット野菜業界がポイント。各40字で字数が少ないので与件情報が多い中、
一番重要なことがらを2つぐらい説明付きで簡潔にまとめる。
定番のSWOT分析のS強みとW弱み。
情報整理・分析の問題。事例Ⅲの第1問の定番問題.。
(解答例)
(ア)
(a)親会社X農業法人④から規格外野菜の調達④により常に一定量の野菜を確保できる体制。8点
(b)生産管理が組織的に行われてなく③、原材料費と労務費の構成比が高く限界利益がマイナス③。6点
→2つの要素をコンパクトにまとめたい。
(イ)
(a)親会社のX農業法人④から規格外野菜を仕入れられ④、販売先からの通年取引に対応できる事。8点
(b)仕入単価が高い野菜の原材料費と労務費が高く限界利益がマイナス③。休業期間発生する事③。6点
→与件の用語をそのまま使いたい。
各40字と短いのでまとめるのに意外と時間がかかります。
この第1問にはあまり時間をかけず、次の問題に進みたいです。想定時間は5分~8分。くよくよ選ばない 思い切りが重要です。
多面性は与件文から想定して解答する第2問
第2問(配点30点)
「現在」C社が抱えている最大の経営課題は、収益改善を早急に図ることである。生産管理面での対応策を160 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
C 社が収益改善を図るために必要な生産管理面での対応策を提案する能力を問う問題で
ある。
→特に追加情報なし。
<対応付けた段落>
第4・6・8・9・10段落と表1を対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第4段落:「仕入単価の高い市場規格品の使用や他産地からの仕入れも必要となり、原材料費が大きく増加」、「原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナス」「生産管理が組織的に行われていない」
第6段落:「他の製造グループへの移動はない」
第8段落:現状の生産管理を見直し、早急に収益改善を図ることを第1の目標としているが、それが達成された「後」には新事業に着手してさらなる収益拡大を目指すことを考えている。
第9段落:各製造グループは、生産高を日常の管理項目として管理してきた。
第10段落:「各製造グループで各々生産計画を立て」「製造グループごとの生産管理」①同種類の原材料調達における単価の差異、②加工ロスによる歩留りの低下、③出荷のための輸送費用のロス、④製造グループ間での作業員の移動の制限
『1次知識・ポイント』
生産管理は生産計画と生産統制。
生産計画は、日程計画、工数計画
生産統制は、進捗管理、余力管理、現品管理
「生産管理面」が最大のヒント。
課題・提案、助言問題。
(解答例)
(ア)対応策は製造グループ全体を通した生産計画を作成⑤し、一元管理し全体最適を図る。原材料の調達先を均一化し単価の差異を改善④、加工ロスを改善し歩留まり向上④。まとめて出荷し輸送費用の削減④、作業員の動線を確保して製造グループ間の異動を容易にする③。また、進捗、余力、現品管理の徹底により生産統制して生産性の向上を図る。20点
→やばいぐらいに一般的なキーワードを入れてます。いかがなものでしょうか。
(イ)対応策は生産管理の責任者を設置し顧客からの注文を集約し一元管理することで、全グループを全体の生産計画を作成⑤し原材料調達から出荷までを生産統制する。同種類の原材料を一括して調達し単価を集約④し、加工ロスを改善し歩留まりを向上④、出荷のための輸送費用のコススト削減④、製造グループ間の作業員の移動を円滑③にして、限界利益の向上を図る④。24点
→与件文に沿った解答になり、多面的になってきました。
とりあえず、問題点を裏返して改善すると、ある程度文章が埋まります。
もう少し1次知識を入れて補填した方がしまりがある。
問われ方と図によって悩ます第3問
第3問(配点20 点)
C社では、クレームを削減する改善活動を計画している。このクレーム改善活動を最も効果的に実施するために、着目するクレーム内容、それを解決するための具体的対応策を120 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
C 社の生産現場の課題を把握し、クレームを削減する改善活動を最も効果的に実施する方法として、着目するクレーム内容とその解決策を提案する能力を問う問題である。
→「生産現場」の課題と追加情報があります。また、最も効果的に実施する方法でした。
<対応付けた段落>
第11・12段落と表2と図1を対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第11段落:製造部門の大きな問題は品質不良、製品クレームが発生
第12段落 :「施設・設備面などの衛生管理、作業方法などの衛生管理、どちらの管理レベルにも課題があり、販売先からの改善要求もある。」
表2に示すような製品クレームが発生している。特性要因図が図1
表2:クレームが一番多いのは「カット形状不均一」で5割以上を占める。
「鮮度劣化」「異物混入」を含めた上位3つで8割。
図1:印を辿ると表2のクレームは作業方法に結び付いたクレームであることが分かります。
よくみると4M(Man人・Machine施設・機械・Material原材料・Method作業方法)の4つの観点から分類してまとめられてます。
全てにおいて上手くできていないことが記載されている。
『1次知識・ポイント』
作業標準化、マニュアル化、5S徹底
→ クレーム内容と解決するための具体的対応策。問題点の列挙・抜きとそれに対する対応策を記載する。
「最も効果的」と1つのことだけを記載する意図の文章が入れられているので解答を検討するのに迷いが生じてしまう作りになっている。
(解答例)
(ア)カット形状不均一、鮮度劣化、異物混入⑤の原因に着目する。対応策は施策・設備面で日常点検からメンテナンス③し予防保全・改良保全する。作業方法は作業標準化・マニュアル化④し、OJT①と勉強会で教育③し、多工程の多能工化を図り、品質と衛生管理①の向上を図る。16点
→とりあえず生産管理の知識を埋め込んだ解答。まとまりは微妙です。
(イ)着目するクレーム内容は構成比50.5%の①カット形状不均一⑤である。対応策は作業標準化・マニュアル化④して作業方法を統一する。製造グループ間の異動②で交流の場を設けて教育③して品質や衛生管理①意識を高める。施設・設備のメンテナンスや日常点検③を実施する。19点。
→高得点?もう少しブラッシュアップできる解答。
図が出てくる問題は図が5割、与件が5割と多面的にバランスを考えて要素を入れた解答が望ましい。偏らず根拠と説明。
書きやすい方を選ぶ第4問
第4問(配点30点)
<C社社長>は、経営体質の強化を目指し、「今後」<カット野菜の新事業>による収益拡大を狙っている。またその内容は、<顧客からの新たな取引の要望>、およびC社の生産管理レベルや経営資源などを勘案して計画しようとしている。この計画について、中小企業診断士としてどのような新事業を提案するか、その理由、その事業を成功に導くために必要な社内対応策とともに160 字以内で述べよ。
【出題の趣旨】
C 社の顧客動向など外部環境を把握し、今後野菜の加工事業を強化して収益拡大を図るために必要な戦略について、助言する能力を問う問題である。
→顧客動向など外部環境を把握し、野菜の加工事業を強化して収益拡大を図る戦略を解答しろと追加されております。
<対応付けた段落>
第7段落を中心に、第3・5・6・7・8・12段落と図1と広く対応付けました。
「キーワード・センテンス」
第3段落:「最近」では<スーパーマーケット>や<コンビニエンスストア>などで販売されている袋に入ったサラダやカップサラダにも広がっている。 国内の野菜需要全体に占める<カット野菜需要の割合>は年々増加している。
第5段落:「約半年間」の季節操業。「約3カ月」の休業期間が例年生じている。
<販売先>からは通年取引の要望がある。
第6段落:<社長>は、全体の経営管理の他に営業活動も担っている。
第7段落:①「一つ」は、カット野菜を原料としたソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業であり、設備投資を必要とする事業である。②「もう一つ」は、<新鮮さを売りものにしている中小地場スーパーマーケットなど>から要望がある一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業であり、「現在」の製造工程を利用できる事業である。
第8段落:現状の生産管理を見直し、早急に収益改善を図ることを第1の目標としているが、それが達成された「後」には新事業に着手してさらなる収益拡大を目指すことを考えている。
第12段落 「施設・設備面などの衛生管理、作業方法などの衛生管理」
図1「異物混入」「衛生管理ルールがない」「メンテナンス技術がない」
『1次知識・ポイント』
SWOT分析、強みの強化、弱みの補填、高付加価値
→経営戦略問題。 C社の経営資源を活用して、新規事業を実施する。
この問題は賛否両論問題でした。将来のC社の戦略を助言提案する問題。
(解答例)
A:ソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事は、設備投資が必要。
B:一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業は、既存の製造工程でできる。
賛否両論の問題です。AなのかBなのか、果たして両方書いちゃうのか。
与件全体を通してC社を分析して最終的に根拠を元にどちらかの案を選択する。
初めに解いた時はB案でした。
B案・(ア)2018年9月
一般消費者向けのカット野菜パック事業⑤を行う。理由はカット野菜需要が高まっており④X農業法人からの通年納品に対応できる野菜の調達力③と新規投資不要で現在の製造設備・工程を生かせる⑥為。対応策は組織的な生産管理によりコスト削減、設備のメンテナンスと作業員の教育、衛星管理ルールを徹底②して、り品質を向上させ、通年出荷できる体制を構築④する。23点。
A解答(イ)2019年5月
カット野菜を原料としたソースや乾燥野菜などの高付加価値製品③の事業を行う。理由はX農業法人からの規格外野菜のみで製造でき③、材料コスト削減できるため。収穫時期による季節変動を製品が長期保存できる事④で回避できる。社内では食品工業としての施設・設備、作業方法などの衛生管理レベル⑥を組織的に行える体制を構築して、収益拡大させる。16点。
書くための根拠が与件文に薄いので難易度が高め。とはいえ、高付加価値戦略が中小企業であるC社にとってはしっくりくる戦略となります。
AでもBでも与件にそってロジックが通る助言が出来ていればよいです。
合計点
(ア)2018年9月 73点
(イ)2019年5月 73点
点数付けが甘すぎました。たぶん因果、根拠と助言が出来ていないと加点はされません。ただ書くだけでは高得点はとれないと反省。
野菜ジュース
毎日野菜ジュースを飲むのが習慣です。
直前期になんども同じ過去問を解くと迷わない。
少し前に解いた過去問を解くと新たな発見がある。
問題に対応した書籍紹介
平成28年度(2016年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
これさえあればとりあえずの解答は入手できます。
ふぞろいな答案分析4
2016年と2017年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2016年と2017年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
本日のまとめ
- 第1問にはあまり時間をかけず、次の問題に進みたいです。想定時間は5分~8分。くよくよ選ばない 思い切りが重要。
- 第2問は問題点を裏返して改善して解答して、知識で補てんする。
-
第3問は、図が5割、与件が5割と多面的にバランスを考えて要素を入れた解答が望ましい。偏らず根拠と説明。
-
第4問は、高付加価値戦略が中小企業であるC社にとってはしっくりくる戦略。
AでもBでも与件にそってロジックが通る助言が出来ていればよい。
今回の記事は いかがでしたでしょうか。
最後に本日のまとめとなります。
「平成28年度 事例Ⅲ もう一度振り返るカット野菜ではもう迷わない」でした。
2次筆記試験まであと12日。
Twitterではフォロワーを絶賛募集中です。
リンクからアクセスしていただき、
フォローやフォローバック、よろしくお願いいたします。
※合格祈願!ポチってください。