おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
みなさんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は「令和1年度 事例Ⅳ 今年は完敗ではなく、乾杯しましょう!」です。
まずは、令和1年度事例Ⅳの過去記事です。
「令和1年度 事例Ⅳ 経営分析の手順」
「令和1年度 事例Ⅳ 経営分析 解答は差がつかない 思考しない勇気」
「令和1年 事例Ⅳ 設問分析が如く! 80分間のプロセスで勝機を感じろ!」
「令和1年度 事例Ⅳ 計算問題はノーミスで、今年の試験は倍返しだ!」
「令和1年度 事例Ⅳ 計算ミスは命取り 綱渡りで突破」
は下記です。
ふぞろい採点により事例Ⅳの試験本番の出来を分析
採点基準や模範解答が公開されていない2次試験において、結局気になるのはその解答。
引き続き勉強仲間から提供して頂いた再現答案を元に採点をして対策記事を書いていきます。
改めて情報提供頂きまして、誠にありがとうございました。
今回で全ての分析が終わります。
今回も引き続き自主勉強会に参加した約17名メンバーの中で、僕も含めた8人の答案をいっきにみていきます。
その内1名の多年度受験の方は「再現答案」を書かれていらっしゃらないので、評価のみを掲載させていただきます。
本番で解いた順番は第1問→第4問→第3問(設問1)→第2問→第3問(設問2・3)の順番。
今回は最後の第3問と全体総括をみていきます。
設問1を間違えると終わり、差が開いた、第3問
ふぞろいを使った採点で比較していきます。
※設問、【出題の趣旨】、「計算過程」、
(再現答案)と(ふぞろい採点)、コメント
第3問(配点30点)
D 社は、マーケット事業部の損益改善に向けて、木材の質感を生かした音響関連の新製品の製造販売を計画中である。当該プロジェクトに関する資料は以下のとおりである。
<資料>
大手音響メーカーから部品供給を受け、新規機械設備を利用して加工した木材にこの部品を取り付けることによって製品を製造する。
・ 新規機械設備の取得原価は20百万円であり、定額法によって減価償却する(耐用年数5 年、残存価値なし)。
・損益予測は以下のとおりである。
・ キャッシュフロー予測においては、全社的利益(課税所得)は十分にあるものとする。(また)、運転資本は僅少であるため無視する。(なお)、利益(課税所得)に対する税率は30 % とする。
(設問1 )
各期のキャッシュフローを計算せよ。
【出題の趣旨】
(設問1)
新規プロジェクトの損益予測情報を利用して、プロジェクトの将来キャッシュフローを算定する能力を問う問題である。
「計算過程」
税引前利益×(1-税率:30% → 0.7) +減価償却費(Dep)
第1期:-7 ×0.7+4=-0.9
第2期 :3×0.7+4=6.1
第3期:15×0.7+4=14.5
第4期と第5期:8×0.7+4=9.6
Hさん、Nさん、shinblog:第3問(設問1)再現答案
(再現答案)10点
第1期 △0.9② 第2期 6.1② 第3期 14.5② 第4期 9.6② 第5期 9.6②
Zさん:第3問(設問1)再現答案
(再現答案)8点
第1期 △3② 第2期 6.1② 第3期 14.5② 第4期 9.6② 第5期 9.6②
→第1期は△3?
これは第1期が赤字として、税金を考慮しない計算をしたためである。
税引前利益×(1-税率:30% → 0.7) +減価償却費(Dep)
第1期:-7+4=-3
ポイント1
赤字の場合は税金が発生しないが、第3問はマーケット事業部の新規プロジェクトの問題。全社的にみれば黒字なので、全社の収支でみて税金が発生し、この問題では節税効果の計算をする必要があった。
続いて残り3人に参ります。
Tさん:第3問(設問1)再現答案
(再現答案)10点
第1期 △0.9② 第2期 6.1② 第3期 14.5② 第4期 9.6② 第5期 9.6②
Nさん:第3問(設問1)再現答案
(再現答案)8点
第1期 0.9 第2期 6.1② 第3期 14.5② 第4期 9.6② 第5期 9.6②
→第1期 0.9 まずい単純なケアレスミスです。
符号のマイナスの付け忘れ。
この第1問を間違えてしまうと、このあとの第2問、第3問も自動的に間違える問題。
1問の失点があとに響き極めて難しい状況に陥ります。
N’さん:第3問(設問1)再現答案
(再現答案)0点 厳しい。全く外れている。
各期のキャッシュフローを算出する問題。逆算しても、う~ん。
設問1を全てハズしたら、設問2・3もハズすので△30点
この設問1を落とした時点で、第3問は試合終了でした。
ポイント2
基本問題と思われる設問1が確実に解けるかどうかが合否の分かれ目。
ハズしたら試合終了です。
もし、設問1を全てハズした場合には△30点
相当なハンディキャップです。
続いて設問2
(設問2 )
当該プロジェクトについて、⒜回収期間と⒝正味現在価値を計算せよ。なお、資本コストは5 %であり、利子率5 %のときの現価係数は以下のとおりである。解答は小数点第3 位を四捨五入すること。
【出題の趣旨】
(設問2)
プロジェクトの 安全性・収益性 評価のために、予測情報に基づいて回収期間及び正味 現在価値を算定する能力を問う問題である 。
「計算過程」
(a)回収期間
まず△20から開始し、第1期はー20.9
第2期はー20.9+6.1=ー14.8
第3期はー14.8+14.5=-0.3
第4期目の途中なので、ー0.3÷9.6=0.03125
3+0.03125=3.03125≒3.03年
小数点第3位を四捨五入
(b)正味現在価値
各期のキャッフローに原価係数をかけて算出。
もし(設問1)が誤っていれば(設問2)以降が全て間違ってしまう問題。
(設問1)の数値が本当に正しいか振り返る。視覚的に良し。
電卓で(M+)と(MR)を使用して計算。
0期:ー20
1期:ー0.9×0.952=-0.8568 (M+)
2期:6.1×0.907=5.5327(M+)
3期:14.5×0.864=12.528(M+)
4・5期:9.6×(0.823+0.784=1.607)=15.4772(M+)
(MR)12.6311≒12.63百万円
小数点第3位を四捨五入
Hさん:第3問(設問2)再現答案
ふぞろい採点:合計8点
(a)3.35(年)③
(b)12.63(百万円)⑤
Nさん、shinblog:第3問(設問2)再現答案
ふぞろい採点:合計10点
(a)3.03(年)⑤
(b)12.63(百万円)⑤
Zさん:第3問(設問2)再現答案
ふぞろい採点:合計0点
(a)3.25(年)
(b)2.4(百万円)
→(a)は設問1を外してしまうと連動して数値が合わなくなります。
(b)は?全体のバランスを崩して、計算式をどこかで間違えて失点してます。
第1問の第1期を△3と解答して、正味現在価値を算出した場合には10.63(百万円)となり、不正解となります。
続いて残り3人に参ります。
Tさん:第3問(設問2)再現答案
ふぞろい採点:合計0点
(a)4.68(年)
(b)12.63(百万円)
(a)は単純な計算ミス?設問1が正解していて何故間違えるのだろうか。
(b)は第1問の第1期を△3と解答した場合の、正味現在価値10.63(百万円)
この問いは設問1の解答を反映せずに、第1期のキャッシュフローを△3として再研鑽して、解いてしまったと推測。
Nさん:第3問(設問2)再現答案
ふぞろい採点:合計0点
(a)2.90(年)
(b)14.34(百万円)
→設問1の第1期の不号を誤り、その数値を元に計算すると2問とも不正解。
後悔してもしきれない。
N’さん:第3問(設問2)再現答案
ふぞろい採点:合計0点(a)(b)共に不正解
→同じで設問1からの連動で不正解。
どれだけ設問1の数値が重要か思い知らされる結果に。
最後は解かなくてよかった設問3
(設問3 )
<資料>記載の機械設備に替えて、高性能な機械設備の導入により原材料費および労務費が削減されることによって新製品の収益性を向上させることができる。<高性能な機械設備の取得原価>は30 百万円であり、定額法によって減価償却する(耐用
年数5 年、残存価値なし)。このとき、これによって原材料費と労務費の合計が何%削減される場合に、高性能の機械設備の導入が<資料>記載の機械設備より有利になるか、⒜欄に答えよ。⒝欄には計算過程を示すこと。なお、資本コストは5 %であり、利子率5 %のときの現価係数は(設問2 )記載のとおりである。解答は、%表示で小数点第3 位を四捨五入すること。
【出題の趣旨】
(設問3)
代替的プロジェクトが存在する場合について、差額キャッシュフローを利用することによって合理的にプロジェクトの選択を行う能力を問う問題である。
「計算過程」
入れようかと思いましたが、全無視です。
難しい問題は日ごろから解かない。
Hさん:第3問(設問3)再現答案
ふぞろい採点:合計0点
29.28(%)
Nさん・Zさん:第3問(設問3)再現答案
ふぞろい採点:0点
未回答
shinblog:第3問(設問3)再現答案
ふぞろい採点:1点
減価償却費:30÷5=6百万円①
差額減価償却費:6-4=2百万円
削減される原材料費および労務費をXとする
(x-2)×(1-0.3)+2>0 X>0.857 0.857÷116×100=0.735・・・≒0.74%
続いて残り3人に参ります。
Tさん・Nさん::第3問(設問3)再現答案
ふぞろい採点:0点
解答詳細は不明だが、設問1と2の数値を外した時点で設問3の数値は合わない。
N’さん::第3問(設問3)再現答案
ふぞろい採点:1点
減価償却費 30÷5=6(百万円)①
減価償却費は正解なので1点。
設問1と2を外した場合、設問3を無理やり解くこと事態に価値無し。
設問3を解くより、何度も何度も設問1を注意深く、1字1句さえ間違えていないのか
見直しをして誤りに気付く。終わったあとは手遅れ。
設問1→設問2→設問1→設問2→設問1→設問2→減価償却費のみ
筆記試験結果と採点から見えてきたもの
ふぞろい採点をした結果です。
Hさん:ふぞろい採点80点、得点開示57点B評価
第1問 合計21点(設問1)12点、(設問2)9点、
第2問 合計23点(設問1)8点、(設問2)4点、(設問3)9点
第3問 合計18点(設問1)10点、(設問2)8点、(設問3)0点
第4問 合計18点(設問1)8点、(設問2)10点
何?このギャップは何なんだ。経営分析か?
売上高総利益率、当座比率?
もしかするとどこかで数値の記載ミスをして一気に20点落としてしまっている可能性がありそうです。
ここまで差があるのは珍しい。
Nさん:ふぞろい採点75点、得点開示78点A評価
第1問 合計18点(設問1)10点、(設問2)8点、
第2問 合計25点(設問1)8点、(設問2)8点、(設問3)9点
第3問 合計20点(設問1)10点、(設問2)10点、(設問3)0点
第4問 合計12点(設問1)6点、(設問2)6点
→ニアリー≒。記述式の問題でもう少し加点されていた可能性が高い。
Zさん:ふぞろい採点47~50点、得点開示54点B評価
第1問 合計15点(設問1)10点、(設問2)5点、
第2問 合計10~13点(設問1)8点、(設問2)8点、(設問3)0~3点
第3問 合計8点(設問1)8点、(設問2)0点、(設問3)0点
第4問 合計14点(設問1)4点、(設問2)10点
→第3問の計三ミスがかなり大きく響いている。
記述式問題でもう少し加点されていると予想。
shinblog:ふぞろい採点70点、得点開示74点
第1問 合計16点(設問1)8点、(設問2)8点、
第2問 合計21点(設問1)8点、(設問2)4点、(設問3)9点
第3問 合計21点(設問1)10点、(設問2)10点、(設問3)1点
第4問 合計12点(設問1)2点、(設問2)10点
→経営分析の負債比率で加点。記述式問題は外している問題が多いが、
もしかすると若干加点されているのかも。
続いて残り3人に参ります。
Tさん:ふぞろい採点55点、B評価
第1問 合計16点(設問1)8点、(設問2)8点、
第2問 合計12点(設問1)8点、(設問2)2点、(設問3)0点
第3問 合計10点(設問1)10点、(設問2)0点、(設問3)0点
第4問 合計17点(設問1)7点、(設問2)10点
→惜しい。第2問の設問3、第3問が正解であればA評価以上。
計算問題のミスが響きました。
Nさん:ふぞろい採点41~45点、C評価
第1問 合計18点(設問1)10点、(設問2)8点、
第2問 合計10~14点(設問1)8点、(設問2)0~4点、(設問3)2点
第3問 合計8点(設問1)8点、(設問2)0点、(設問3)0点
第4問 合計5点(設問1)3点、(設問2)2点
→第2問・第3問の計算問題でのミス。第4問も記述の量が不足。
計算問題で確実に基本的な所を抑えておく力が必要となったことが分かります。
N’さん:ふぞろい採点38点、D評価
第1問 合計17点(設問1)10点、(設問2)7点、
第2問 合計12点(設問1)8点、(設問2)4点、(設問3)0点
第3問 合計1点(設問1)0点、(設問2)0点、(設問3)1点
第4問 合計8点(設問1)3点、(設問2)5点
→第2問・第3問の計算問題でのミス。第4問も記述の量が不足。
計算問題で確実に基本的な所を抑えておく力が必要となったことが分かります。
NさんとN’さんに共通な点はなんでしょうか?
やはり基本的な計算問題での失点。そして、全体的なタイムマネジメントを崩した。
問題と解く順番をあやまり、加点要素が多い第4問を後回しにして解答する時間が無かった。
第3問の(設問3)も解いた形跡があり、捨て問として扱えなかった。
捨てられなかったことで、時間が足りなくなって点数が伸びなかった。
以上、令和1年次事例Ⅳの再現答案の解答解説でした。
12月11日(金)の2次筆記試験の合格発表
今年は完敗ではなく、合格して乾杯しましょう!
問題に対応した書籍紹介
令和1年度(2019年度)事例Ⅳの解答解説が掲載されている書籍です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
ふぞろいな合格答案13
令和1年度試験(2019年度試験)の答案分析と再現答案 ¥2,430
まとめシート 令和元年度編:2次試験 ¥550
30日でマスターできる 中小企業診断士第2次試験 解き方の手順 ¥2,970
解き方に特化した書籍です。後半に令和1年度試験の与件文を分析したページがありますので、2020年度合格版としてご紹介させていただきました。
TBC受験研究会 2020年度版 速習2次テキスト ¥4,180
巻末の「抽象化ブロックシート」は暗記ツールです。
TAC
2020年度版 第2次試験過去問題集¥3,300
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
まず初めに購入する、大手予備校の解答解説。
事例問題攻略マスター(第2版)¥3,080
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。A5版と小さく持ち運びに便利。
毎年新刊が出ている書籍
直近の令和元年度および平成30年度の解答プロセスです。
ふぞろいだけじゃ物足りない方用。
LEC
令和元年度 第2次試験 模範解答解説 ¥1,000
本日のまとめ
- 失敗事例を共有
- 全社的にみれば黒字の場合には、節税効果の計算をする必要があった。
-
基本問題と思われる第3問(設問1)が確実に解けるかどうかが合否の分かれ目。ハズしたら試合終了。
-
第3問(設問2)は、(設問1)を外してしまうと連動して数値が合わなくなります。全体のバランスを崩して、計算式をどこかで間違えやすくなる。
-
第3問(設問3)を解くより、何度も何度も第3問(設問1)を注意深く、1字1句さえ間違えていないのか見直しして誤りに気付く。終わったあとは手遅れ。
-
上手くいかないケースは、①基本的な計算問題での失点、②全体的なタイムマネジメントを崩したことがあげられる。
-
問題と解く順番をあやまり、加点要素が多い第4問を後回しすると解答する時間が無い。
-
第3問の(設問3)を捨てないと、時間が足りなくなって点数が伸びない。
-
今年は完敗ではなく、合格して乾杯しましょう!
2次筆記試験まであと45日。
ようやく令和1年度試験の記事が終わりました。
※合格祈願で、ポチってください。