おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
皆さんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は「2次試験対策 事例Ⅱ もと歓楽街の超広域型商店街」です。
まずは対応する過去記事です。「2次試験対策 事例Ⅱ H27年度 商店街に何を提案するのか?」は下記です。
事例Ⅱの文章量
事例Ⅱの与件文のボリュームは事例ⅠやⅢと比較すると最も多いです。
今回取り扱う平成27年度の与件文は2,827字です。ページ数だと3ページ弱。
プラス図や表が出てきます。
過去の事例Ⅱの与件字数。
令和1年度:2,782字 平成30年度:2,621字
平成29年度:2,888字 平成28年度:2,642字
平成25年度:2,735字 平成24年度:2,672字
事例Ⅰのグラフと比較するとわかりますが、基本的には2,600字以上で2,900字以下の間で推移しております。
綺麗に山の形のグラフとなってますので、毎年増えて、減ってを繰り返してます。
この法則によると令和2年度試験は2,650字ぐらいですね。
平成27年度は字数が多かった年です。
商店街実態調査との整合
平成27年度の与件は全部で10段落。
与件文スタートでーす。
第1段落
①<B商店街>は、<ローカル私鉄のX駅周辺>に広がる商店街である。B商店街域内の総面積は約4万m2 (店舗、街路、住宅、公園を含む)であり、約180店が出店している。商店街運営は<B商店街協同組合>が行っており、約8割の店舗が<組合>に加盟している。<組合>には<加盟店>から選出された<理事13名>、<専従職員2名>が属している。組合運営費(専従職員給与、街路灯保守費、イベント実施費など)は、月数千円の組合費、各種補助金、組合事務所のイベントスペース収入、駐車場収入などから賄われる。
→まずはこの年は「B社」ではなく、初見であれば「B商店街なんだ。」「これはこれまでの問題と違うな。やばいかも。」といった驚きの瞬間でしょうか。
商店街の規模は約180店が出店。
中小企業庁の商店街実態調査報告書によると約180店の商店街は「超広域型商店街」となります。
「超広域型商店街」とは、百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を中心に構成され、遠距離から来街する商店街と定義されております。
中小企業庁ホームページ「平成30年度商店街実態調査」より引用
商店街運営はB商店街協同組合が行ってます。
商店街実態調査の資料に基づいて与件をみていきます。
180店の内8割の約144店が組合に加盟しており100店~149店が加盟しているのは全体の3.5%で、専従職員が2名いるのは全体の4.1%。大規模な商店街だからこそ出来ている体制でかなり大規模な商店街です。
商店街が実施しているソフト事業では「祭り・イベント」が1位で、
商店街が実施しているハード事業では「街頭路の設置(LED化を含む)」が1位となっており、組合運営費は専従職員給与、街路灯保守費、イベント実施費に使用しておりと記載があることから、どの商店街も実施している取り組みは既に費用をかけて積極的に実施されていることが分かります。
以上から、実際の商店街のデータ・トレンドを反映させて作り込まれていることが分かります。
第1段落の費用と収入の項目には商店街の活動内容が細かく記載されている構成です。
組合事務所のイベントスペース
→第1問(設問2)(設問3)、第3問(設問2)に対応。
各種補助金
にぎわい補助金等のことでしょうか。
今年2020年は各行政ごとに商店街向け新型コロナウイルス感染症対策補助金等を募集しておりましたし、今も情報提供されております。
下記は東京都の例などです。
商店街の新型コロナウイルス感染症対策を支援します|中小企業支援|東京都産業労働局
代表理事登場
第2段落
②<現在の代表理事>は商店街で「寝具店」を営む<50歳代男性>である。<代表理事>が<先代>から寝具店を引き継いだ頃、後述する<総合スーパー>の出店により、経営は厳しいものであった。しかし、購入者向けのアフターサービスに注力した結果、経営が安定し始めた。「現在」は<後継者>に店舗経営を任せ、<自身>は組合活動に軸足を移している。
→今回の主役・助言する相手は代表理事です。
寝具店を営む50歳代男性で、競合の<総合スーパー>と差別化して、強みである購入者へのアフターサービス力で安定経営にさせて、早くも後継者に店舗経営を任せて、組合活動に注力されている方です。
アフターサービスの経験・ノウハウは生かせる、資源でしょうか。
経営者が抱える問題1位は、「経営者の高齢化による後継者問題」です。
この代表理事、50歳代にして早くも後継者問題をクリアーしてます。
そして商店街の理事として専念。
→第3問(設問1)(設問2)に対応。
③<「現在」の代表理事>も「以前」は、持ち回りで選出された<他の理事>と同じように、運営に対して消極的な<理事の1人>であった。しかし、<寝具店の後継者>が決定後、<県>が主催したセミナーで全国の商店街活性化事例を目にした。このセミナーをきっかけに、後継者が将来にわたり<寝具店>を経営し続けるためには、商店街全体の活性化が必要であると感じ、「以降」は積極的に組合運営に関与するようになった。その後、<代表理事>に就任し、「10 年後」を見据えた組合運営という方針を打ち出した結果、<志を同じくする若手店主数名>の賛同を得るに至った。「現在」はそれらの<店主達>が理事に立候補し、理事の平均年齢は低くなり、逆に運営への関与度は高くなりつつある。この動きを受けて、<県や市>、<商店街の店主>、<土地・建物の所有者>も組合に協力的になりつつある。
→全国の商店街活性化事例。
中小企業庁のホームページには「がんばる商店街77選」や「全国商店街の挑戦」「商店街にぎわいPLAZA・地域商店街活性化事業成果事例集」のページがあり地域の商店街の事例が掲載されております。
中小企業庁:「平成29年度地域商業自立促進事業モデル事例集〜全国商店街の挑戦〜」を公表します
全振連ポータルサイト-商店街にぎわいPLAZA 全国商店街リンク
「商店街全体の活性化が必要」これはまさしくあるべき姿、商店街の経営課題。
「10 年後」を見据えた組合運営は、商店街のビジョン。
さらに県や市、商店街の店主、地主もまきこみ、追い風が吹いてます。
→第3問(設問1)(設問2)に対応。
商店街全体の活性化、地域活性化の課題は頻出のパターン。
④B商店街の誕生は、「明治中期」に「現在」のB商店街周辺に数千人の工員が勤務する大規模織物工場が建設されたことに起因する。その後、当該工場の周辺に関連工場が多数建設され、工場街が形成された。結果、工員を対象とする<飲食業>、<小売業>、(狭義の)<サービス業>等で構成される歓楽街が周辺に形成された。「昭和初期」にはX駅が開業し、駅と工場街の間に「現在」とほぼ同面積の商店街が完成した。「第2次世界大戦時」の空襲により、工場街は炎上し、商店街も大きな被害を受けたが、「戦後」、工場街が再生したのに伴い商店街も復興を成し遂げた。「昭和後期」に入り、公害問題から工場の移転が始まり、工員の来店が大幅に減少した。娯楽施設の大半が撤退し、<周辺住宅街に住む住民>を対象とした商店街へと変化していった。<主力の飲食店>も、かつては“工員が疲れを癒す居酒屋”という趣の店が多かったが、“大人が落ち着いて食事ができる食事処”といった趣の店に変わっていった。
→商店街の歴史と、ターゲットの変遷が記載されております。
昔は工場街で工員をターゲット顧客とした歓楽街・飲み屋の街から、<周辺住宅街に住む住民をターゲット顧客>とした、大人な街、落ち着いて食事ができる食事処へと変化しました。
この段落は、(第1問 設問2)に紐づきます。
設問1で解答した<ターゲット顧客層>向けに、新たにどのようなサービス業の業種を誘致すべきか。代表理事への助言内容を50字以内で述べよ。
商店街の変遷から ターゲット層が変化。新規ターゲット層のニーズに対してどう提案するか。
問題に対応した書籍紹介
平成27年度(2015年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
これさえあればとりあえずの解答は入手できます。
ふぞろいな答案分析3
2014年と2015年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2014年と2015年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
TBC受験研究会
平成25年~27年度の過去問解説です。
本日のまとめ
- 字数は毎年増減しており、令和2年度試験は2,650字ぐらい。
- 実際の商店街のデータ・トレンドを反映させて作り込まれている。
- 商店街全体の活性化、地域活性化の課題は頻出のパターン。
- 商店街の変遷から ターゲット層が変化。新規ターゲット層のニーズに対してどう提案するか。
※2次試験対策の記事は、複数年に渡り学習したきた自らの記録、各種学習参考書や過去問解説の情報、 勉強会や学習仲間とのやりとり、ブログなどさまざまな情報を元に、改めて2次試験の問題を振り返り受験生の勉強の参考になればと思い記事にさせて頂いております。
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