
おはようございます。中小企業診断士の山口晋です。
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本日のテーマは
「【事例Ⅰ⑤】人事施策は12年・18設問|成果主義は「導入すべきか」と「導入しない理由」の両方が出た」です。
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【事例Ⅰ⑤】人事施策は12年・18設問|成果主義は「導入すべきか」と「導入しない理由」の両方が出た
人事施策は19年中12年、18設問で出題されています。出題率63.2%で、設問数では組織構造を上回ります。
「茶化(採用・配置・報酬・育成・評価)」というフレームで整理されることの多い論点ですが、19年分を見ると、フレームだけでは書けない設問が混ざっています。
典型が成果主義です。「導入すべきか」と問われた年もあれば、「導入しない理由」を問われた年もありました。
人事施策の出題実績
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題年数 | 12年 / 19年中 |
| 出題率 | 63.2% |
| 設問数 | 18設問(組織構造の15を上回る) |
| 直近の出題 | R6 |
| 定位置 | 第4問が最多(6回) |
第4問は「組織・人事ゾーン」で、人事6回・組織文化5回・組織構造4回が集中しています。第4問を見たら、まず人事を疑うという順序で問題ありません。
3つの系統に分かれる
18設問のテーマを整理すると、3系統に収まります。
| 系統 | 出題年度 | 内容 |
|---|---|---|
| 採用・定着 | H25・H26・R4 | 中高年主婦の活用、新卒採用、専門人材の確保、新規就農者の受入 |
| 評価・賃金 | H22・H24・H27 | 成果主義の導入可否、評価制度の設計 |
| 配置・権限 | R4・R6 | 配置転換、権限委譲 |
①採用・定着|「誰を採るか」より「なぜ辞めないか」
中小企業が大企業と同じ条件で人を採るのは困難です。事例Ⅰの設問も、採用そのものより定着に重心があります。
- 平成25年度:中高年主婦の活用(労働市場での立ち位置を活かす)
- 平成26年度:専門人材の確保
- 令和4年度:新規就農者の受入(農業法人の事例)
答案に入れる要素
採用の施策だけでなく、採った人が定着する仕組みまで書くと厚みが出ます。
育成の仕組み(OJT・技術継承)、評価と処遇の明確化、働きやすい条件(勤務時間の柔軟性)、キャリアの見通し。
与件に「人材の流出が続いている」と書かれていれば、採用より定着が主題です。
②評価・賃金|成果主義の両面性
この系統で特徴的なのが、成果主義の扱いです。
| 年度 | 問われ方 |
|---|---|
| H22 | 成果主義導入のメリット・デメリット |
| H24 | 評価制度に関する設問 |
| H27 | 成果主義を導入しない理由 |
ここがフレーム暗記の限界
「成果主義=モチベーション向上」と覚えていると、平成27年度で手が止まります。
導入しない理由を書けと言われているためです。
与件に「長期的な技術習得が必要」「チームでの協働が成果を生む」と書かれていれば、短期の成果で評価する制度は逆効果になります。
成果主義が向く場面と向かない場面を、両方説明できる状態にしておく必要があります。
| 成果主義が向く | 成果主義が向かない |
|---|---|
| 成果が個人単位で測れる | チームで成果を出す仕事 |
| 短期で結果が出る | 技術の習得に年数がかかる |
| 営業職など数値化しやすい | 品質・安全など数値化しにくい |
| 人材の流動性が高い | 長期雇用で技術を継承している |
事例ⅠのA社は製造業が13社と最多で、熟練技術が強みになっている企業が目立ちます。この場合、成果主義は慎重に扱うべき、という方向になりやすい。
③配置・権限|近年増えている系統
令和4年度の権限委譲、令和6年度の配置転換と、直近で登場している系統です。
組織構造の助言(第4回で扱いました)とセットで問われることが多く、「構造を変える/権限を動かす/人を動かす」の3つが連動します。
茶化のフレームは使えるのか
採用・配置・報酬・育成・評価という5つの切り口は、答案の抜け漏れを防ぐには有効です。
ただし2つの注意点があります。
注意点①|全部書こうとしない
100字で5つ全部に触れると、それぞれ20字。何も具体的に書けません。
与件から最も効きそうな2つを選んで、深く書くほうが得点につながります。
注意点②|与件根拠のないものは書かない
「評価制度を整備し、育成体系を構築し、採用を強化する」は、どのA社にも当てはまります。
どのA社にも当てはまる答案は、このA社の答案ではありません。
与件に書かれている事情(技術者の高齢化、離職率の高さ、後継者不在)に対応する施策を選んでください。
人事施策と経営戦略のつながり
事例Ⅰの設問は、1つのストーリーでつながっています。
| 設問 | 役割 |
|---|---|
| 第1問 | A社の強み・弱みを分析する |
| 第2〜3問 | 事業展開の要因・課題を分析する |
| 第4問 | その事業展開を支える組織・人事をどう設計するか |
| 第5問 | 締めの提言 |
第4問で人事施策を書くとき、第1問で挙げた弱みへの対応になっているかを確認してください。
第1問で「熟練者に技術が集中している」と書いたなら、第4問は技術継承の仕組みが答案の中心になります。全体が1本の線でつながります。
[推測]人事の設問が求めているもの
19年分を通して見ると、人事施策の設問は「制度の知識」より「この会社にとって何が効くか」の判断を測っているように見えます。
成果主義を導入しない理由を問うた平成27年度は、その象徴です。知識としての成果主義を知っているだけでは書けず、A社の技術の性質を読んだうえで判断する必要がありました。
令和8年度に向けた準備
- 採用・定着では、定着の仕組みまで書く
- 成果主義は向く場面と向かない場面の両方を説明できるようにする
- 茶化のフレームは抜け漏れチェックに使い、答案では2つに絞って深く書く
- 第4問の答案が、第1問で挙げた弱みへの対応になっているか確認する
- 権限委譲・配置転換は直近で増えている系統として押さえる
次回予告
事例Ⅰの最終回は80分の使い方とワード集です。
設問数は19年間ほぼ5問で固定されてきましたが、令和7年度は4問構成に変わりました。この変化が続くなら、時間配分の見直しが必要になります。
関連記事|シリーズの記事一覧
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・【事例Ⅰ⑤】人事施策は12年・18設問|成果主義は「導入すべきか」と「導入しない理由」の両方が出た(本記事)
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