
おはようございます。中小企業診断士の山口晋です。
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本日のテーマは
「【事例Ⅳ⑥】記述66問を分類|計算が壊れても拾える20点の設計図」です。
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【事例Ⅳ⑥】記述66問を分類|計算が壊れても拾える20点の設計図
事例Ⅳの記述問題は、19年すべてで出題されています。合計66問、毎年20〜25点分です。
この記述には、計算力とは独立して得点できるという性質があります。電卓が止まっても、与件と財務データが読めれば書けるからです。
事例Ⅳ最終回は、66問のテーマを分類したうえで、10設問・80分という現在の構成をどう配分するかを考えます。
記述問題の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題年数 | 19年すべて(最少でも年1問、多い年は5問) |
| 合計設問数 | 66問 |
| 最多の字数 | 60字(19問) |
| 以下 | 40字・80字(各9問)、50字(8問)、30字(8問) |
| 100字超 | H23(100字・150字)、H24(200字)など初期に集中 |
| H27以降 | 最大100字。長文記述は姿を消した |
問われ方の内訳
| 問われ方 | 設問数 |
|---|---|
| 分析(〜を分析せよ/指摘せよ) | 39問 |
| 助言(〜を助言せよ/提案せよ) | 12問 |
| 判断(〜すべきか) | 8問 |
| 説明(〜を説明せよ) | 3問 |
分析が6割弱を占めます。ただし令和7年度は記述2問がどちらも「助言せよ」でした。事例Ⅰ〜Ⅲと同じく、助言形式が増える方向にあります。
66問のテーマは2系統に集約される
19年分の記述テーマを並べると、核になっているのは2つです。
| 年度 | テーマ | 字数 |
|---|---|---|
| H19 | 個人情報リスク/資産・費用構造の変化 | 60・40字 |
| H20 | 全額負債依存の問題点/経営権維持の資金調達 | 60・40字 |
| H24 | 事業承継先と留意点 | 200字 |
| H27 | 大口取引先依存のデメリット/新事業の意義 | 30・30字 |
| H30 | 業務委託のリスクと方策 | 70字 |
| R1 | 子会社化のメリデメ/EDI導入の財務的効果 | 30・60字 |
| R3 | 事業一本化のメリット/企業価値と事業継続 | 40・40字 |
| R4 | 財務的リスク2点とマネジメント | 100字 |
| R5 | OEM生産の財務的利点/新分野展開の利点 | 50字 |
| R7 | 資金調達手段の助言/EU向け販売の財務リスク | 80・60字 |
2つの系統
系統①:リスクの指摘+対応策 個人情報リスク(H19)、大口取引先依存(H27)、業務委託リスク(H30)、財務的リスク(R4)、EU向け販売の財務リスク(R7)
系統②:資金調達 全額負債依存(H20)、経営権維持(H20)、子会社化(R1)、資金調達手段の助言(R7)
テーマの表面は毎年違いますが、この2系統に当てはめれば書き出しに困りません。
記述で書くべきこと|「財務的に」がキーワード
事例Ⅳの記述には、他の3事例と決定的に違う点があります。
設問文に「財務的な」「財務上の」という限定が入ることが多い、という点です。
よくある失点
「EDI導入の効果」と聞かれて、「業務が効率化する」「ミスが減る」と書いてしまうケースです。
これは事例Ⅲの答案です。事例Ⅳで求められているのは、それが財務諸表のどこにどう表れるかです。
「受注処理の人件費が減り、販管費が圧縮される」「在庫削減により棚卸資産回転率が改善する」といった形まで落とし込みます。
財務に翻訳する型
| 与件の事象 | 財務的な表現 |
|---|---|
| 業務が効率化する | 人件費・外注費が減り、営業利益率が改善する |
| 在庫が減る | 棚卸資産回転率が上がり、運転資本の負担が軽くなる |
| 特定顧客に依存している | 取引停止時の売上減少リスク、売掛金の貸倒リスクが集中する |
| 借入に頼っている | 自己資本比率が低下し、支払利息の負担で経常利益が圧迫される |
| 海外取引を始める | 為替変動リスクにより円建て受取額が変動する |
この翻訳ができれば、テーマが何であっても書けます。逆にここが弱いと、知識はあるのに点にならない状態になります。
記述は「計算と独立」している
ここが記述問題の最大の価値です。
NPVの計算が合わなくても、CVPの区間判定を間違えても、記述の点数には影響しません。与件と財務諸表が読めれば書けます。
得点の組み立て
経営分析(第1問)で25点前後、記述で20〜25点。合わせて45点前後。
ここに計算問題を1〜2問乗せれば、合格ラインの60点が見えます。
逆に「計算で稼いで記述は捨てる」という設計は、事例Ⅳでは成立しません。
時間配分|10設問・80分をどう割るか
設問数は年々増えています。
| 時期 | 設問数 | 計算設問の「難」比率 |
|---|---|---|
| H19〜H25 | 7問前後 | 43%(H19〜23) |
| H27以降 | 9〜10問 | ― |
| R4〜R7 | 10設問(R7は過去最多水準) | 58% |
10設問を80分で割ると、単純計算で1問8分です。しかも計算問題の6割近くが「難」に分類されます。
全問完答は、設計上ほぼ不可能だと考えてください。
現実的な配分案
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0〜5分 | 設問をすべて読み、計算量と難度を見積もる。解く順番を決める |
| 5〜25分 | 第1問(経営分析)を確実に仕上げる |
| 25〜45分 | 記述問題をすべて埋める(計算に手をつける前に) |
| 45〜75分 | 計算問題を、取れそうなものから。計算過程は必ず書く |
| 75〜80分 | 空欄の確認。単位・符号の見直し |
なぜ記述を先に書くのか
計算から入ると、1問に詰まったときに時間を溶かします。気づくと残り10分で記述が白紙、という事態が起こります。
記述は時間さえあれば必ず埋まる問題です。先に確保しておけば、計算で何が起きても40点前後は残ります。
「計算過程を示すこと」を使い切る
令和3年度以降、ほぼすべての計算設問に「計算過程を示すこと」が付いています。
これは、最終的な数値に到達できなくても途中まで書けば点が入るということです。
- キャッシュフローの計算表まで作れたら、そこで止まっても書いて出す
- 「税引後CF=(収入−支出)×0.7+減価償却費×0.3」のような式だけでも残す
- 時間切れでも、空欄にはしない
白紙と、途中まで書いた答案は、扱いが違います。
事例Ⅳ6回のまとめ
| 回 | テーマ | 要点 |
|---|---|---|
| 第1回 | 出題論点マップ | 上位4論点で構成が決まる。H26に構造が変化 |
| 第2回 | 経営分析 | 19年連続・第1問。R3以降は80字で5年連続 |
| 第3回 | CVP | 素直なBEPはH24が最後。逆算・区間変化・複数製品の3型 |
| 第4回 | NPV | 平均31.5点で最大。運転資本が3年連続 |
| 第5回 | セグメント別損益 | 7回中5回が直近6年。制約の本数を最初に確認 |
| 第6回 | 記述と時間配分 | 19年すべてで出題。計算と独立した20〜25点 |
事例Ⅳで最初にやること
順番をつけるなら、経営分析 → 記述 → NPV → CVP → セグメント別損益です。
前の2つは確実性が高く、後ろに行くほど難度と変動が大きくなります。
残り日数が限られているなら、前半2つを完成させるほうが得点期待値は上がります。
次回予告
事例Ⅳは今回で6回が完結です。次回からは事例Ⅰの第2回に移ります。
98設問を「分析」「助言」の型に分けて、何がどう問われてきたかを整理します。
関連記事|シリーズの記事一覧
▼ 事例Ⅳ の記事一覧
・【事例Ⅳ・学習ガイド】なぜ事例Ⅳから始めるのか|19年分のデータで見る必須論点と警戒範囲
・【事例Ⅳ①】19年分の出題論点マップ|何が何回出たかを数えてみた
・【事例Ⅳ②】経営分析は19年連続で第1問|19年分の「聞かれ方」を並べてみた
・【事例Ⅳ③】CVPは19年中15年で出題|素直な損益分岐点は平成24年度が最後だった
・【事例Ⅳ④】NPVは平均配点31.5点で最大|落ちるのは公式ではなく条件の拾い漏れ
・【事例Ⅳ⑤】意思決定会計とCF計算書ほか|増えている論点と、長く出ていない論点
・【事例Ⅳ⑥】記述66問を分類|計算が壊れても拾える20点の設計図(本記事)
※グレーの記事は公開後にリンクされます。
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