独立診断士としての実感値2025年81~診断士と事業者と業者

最近思うことは、診断士と事業者と業者の違いについてです。

診断士は国家資格をもち、その立ち位置であるべき理想論の元に立ち振る舞いますが、果たしてそれが事業者に刺さるかどうかといった問題があること感じます。

診断士として成功をする過程において、実務を続けていくと、専門性が生まれていき、診断士ではなく、業者になっていくことがよくあります。

会社員の専門職だとこの業者と変わらないと思います。

そして、診断士の立ち位置ではなく、経営者という立ち入りになると事業者という枠組みになり、これがいわゆる社長さんといった感覚になるものだと思います。

診断士としての入り口で、業者として稼ぎ、そして、発展していき仕組化や組織化をすると事業者の仲間入りになる。

このモデルは診断士だけではなく、独立開業をした、個人事業主達も同様で、個人事業主から仕事を受注して危険を積む中で、成功するルートは結局は同じなのではないかと思います。

──価値提供の構造から理解するビジネスの役割分担

ビジネスの現場では、「診断士」「事業者」「業者」という言葉がしばしば混同されます。しかし、コンサルティングのプロセスで見れば、この3者は価値提供のレイヤーが明確に異なる存在です。役割の境界線を理解することは、プロジェクト推進をスムーズにし、成果を最大化するための前提となります。

■ 1．中小企業診断士・コンサルとは ― “思考と意思決定を支える存在”

中小企業診断士をはじめとするコンサルタントの役割は、課題を定義し、解決の方向性を示すことにあります。
現場に入り込みすぎず、経営者の視界を広げる「第三者の知的伴走者」として機能します。

コンサルティングの世界では、**“問題の定義を誤った時点で、解決策は無価値になる”**と言われます。
だからこそ診断士は、結論を急ぐのではなく、事業の本質や強み弱み、外部環境などを丁寧に言語化するのです。

事業者は、コンサルの提案を「採用するか否か」を判断し、経営の結果責任を負う存在です。
コンサルが「設計者」なら、事業者は「指揮官」であり、最終的に舵を取る立場です。

診断士が戦略を提案しても、それは“選択肢にすぎない”。
選び、実行する決断は事業者にしかできません。

業者は、具体的な作業や成果物を提供する存在であり、価値の具現化を担う実務の専門家です。
Web制作、施工、広告運用、設備工事など、アウトプットの担い手となります。

価値提供のレイヤーで整理すると以下の通りです。

この構造を理解していない企業は、
コンサルに「成果を出してほしい」と言いながら、
実は事業者自身が意思決定を放棄していたり、
業者に“経営判断”まで丸投げしてしまったりして失敗します。

コンサルティング思想から見れば、診断士は次の姿勢を忘れてはなりません。

つまり診断士とは、
「経営者に気づきを与え、未来の選択肢を広げる存在」
であり、業務代行者でも評論家でもありません。