おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
みなさんいつもブログを読んでくれてありがとうございます。
本日は「2次試験対策 事例Ⅲ H27年度 さあ 心のままに 紐づけよう」です。
まずは対応する過去記事です。「2次試験対策 事例Ⅲ H27年度 6問640字の強敵」「2次試験対策 事例Ⅲ H27年度 鋳物製品の製造業の戦略」「2次試験対策 事例Ⅲ H27年度 数々の残念なやらかしを面白きものへ」は下記です。
課題と問題点の違い
事例Ⅲの設問解釈で一番初めにはっきりさせてないといけないのが、
この「課題」と「問題点」の違いです。
解答をするときに「課題」ときかれているのに、間違って「問題点」を書いてしまうのがよくあるバターンです。
「課題」は、達成すべきこと、解決しなければいけない問題。
イッシュ―。目標と現実とのギャップ
「問題点」は、現象として起きている問題。
「問題」は、解決するべきこと。対策をとって克服する。問題か解決。
少し難しい感じなので、
問題点は否定的・後ろ向きなこと、過去・現在形で与件文に書かれていることが多く、
課題は、肯定的・前向きなことで未来形で書かれていいることです。
課題は与件文に書かれていることもありますが、書かれていない場合には問題点から課題を設定する必要があります。
問題点とあるべき姿のギャップを埋めるのが課題。
説明を何度もしましたが、この課題と問題点の違いは初歩の初歩として肝心なことなので繰り返しさせていただきました。
この課題設定とその改善策を問う問題が事例Ⅲでは多いです。
たとえば、今回は事例ⅢH27年度の第8段落を使って問題点として書くと。
「鋳造工程の計画のみが立案されて、受注生産品と見込生産品が混在で、それぞれの工程担当者が加工順を決めており、農業機械部品や産業機械部品の納期遅延が生じていることが問題。」
これを、課題として書き換える必要が出来てきます。
「納期遅延の解消が課題となります。具体的には・・・。」
改善チームは何を見たか
【改善チームによる調査結果】
第10段落
⑩C社では「現在」、自動車部品の新規受注を目指して、<製造部内>に改善チームをつくり、生産能力向上を目的とした改善活動を実施している。
→自動車部品の新規受注。
農業機械部品、産業機械部品を製造する技術力やノウハウを生かして、自動車部品の製造を受注するストーリー。
→対応する問題は第1問(設問1)と第4問
生産管理用語から読み進める
第11段落
⑪それによると、製造現場では、鋳造工程「後」の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。(また)この仕掛品によって、多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況である。このため、製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。
→運搬や移動に関する問題点の段落です。
鋳造工程後の仕掛品、マンホールの蓋が多く置場に大きなスペースが必要で邪魔になってます。散在するマンホールの蓋のせいで、製品をフォークリフトで移動するのに時間がかかってます。
多台持ち
多台持ちで機械加工工程の作業で設備間の移動が非常に困難。
生産管理用語を理解していないといまいちピンとこないと思います。
生産管理用語は丁寧に抑えていきましょう。
多台持ち
1人または2人以上の作業者が作業工程の流れの順に関係なく単独に加工する複数台の機械を受け持って行う作業のこと。
TACスピードテキスト運営管理より引用
多工程持ち
作業工程の流れの順に、作業者が複数の工程を受け持って行う作業のこと。TACスピードテキスト運営管理より引用
意味合いが違います。今回は作業員がたくさんの機械を1人で操作しているイメージです。
多台持ち は、1人で複数の機械を操作できる。
多工程持ちは、1人で複数の工程を担当できる。
製造リードタイム
生産に着手してから生産が完了するまでの時間(日数)のこと
で生産リードタイムとほど同義で用いられております。
「生産リードタイム:生産の着手時期から完了時期に至るまでの期間 JIS定義」
今回の与件文では「製造リードタイム」と記載がありますので、
解答には製造リードタイムを短縮すると書きたいです。
その他、調達リードタイム、発注からの納品が完了するまでの時間(日数)とかがあります。
また、最悪の納期遅延。
課題、対応策は、納期遅延の解消、短納期化、製造リードタイムの短縮、5Sを行い、移動がしやすいように改善。
→対応する問題は第1問(設問3)と第2問。どちらに対応づけるかで回答の内容が分かれます。
第1問(設問3)
自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要があ
る。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100 字以内で述べよ。
ボトルネック
第12段落
⑫C社では工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握しており、受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。/しかし、<改善チーム>が行ったマンホール蓋の主力製品の工程分析によると、図2に示すように機械加工工程がネック工程となっていた。この結果は<他製品の工程分析>でも同様の傾向を示していて、機械加工工程の残業が日常的に生じている原因が判明した。
→鋳造工程の生産能力が非常に高い、高すぎて、仕掛品が大量にたまっている。
それはマンホール蓋やその他の製品の工程分析を行っても同じ結果で、後工程の機械加工工程が仕掛品が溜まっている状況でした。
そのため日常的に残業が発生している。これは改善しないとまずいです。
工程分析
工程分析「生産対象物が製品になる過程、作業者の作業活動、運搬過程を系統的に、対象に適合した図記号で表して調査・分析する手法。JIS定義」
加工〇 運搬◦ 停滞▽ 検査□◇ といった記号で工程を分析する手法。
→この段落も第2問に対応させます。
図2の読み取りは、機械加工工程に時間がかかっており、ネック工程というメッセージです。
実はその前工程の鋳造工程の生産能力が高すぎて仕掛品大量に散在してます。
このボトルネックは書籍「ザ・ゴール」の制約条件の理論(TOC:(theory of constraints)が参考になります。
ボトルネック工程に従属させることです。
1次試験後にさらっと漫画で読んでみるものお薦め。
稼働率
第13段落
⑬そこで<改善チーム>は、機械加工工程の設備稼働状況を調査し、図3に示す結果を得た。稼働率は48%と低く、非稼働として停止37%、空転15%となっている。<停止>は、刃物、治具の交換や加工前後の製品運搬、機械調整などの段取り作業を主な要因として生じている。また<空転>は、加工が終了し製品を脱着する必要があるとき、作業員の作業遅れによって設備が待っている状態により生じている。
→稼働率は48%、約50%弱。低いですね。停止と空転が52%。半分は機械が動いてない。これは大問題です。
改善しないと。
停止と空転それぞれで改善策を出したい。
停止は、段取り作業が要因。
段取り替えの問題。
刃物、治具の交換や加工前後の製品運搬、機械調
このなかでは、「治具」の意味が分からない人もいると思いますので、
説明を貼っておきます。
治具/ジグ(英語:jig)は、加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称。「治具」という日本語は同義の英単語 "jig" に漢字を当てたものである。
治具 - Wikipedia より引用
加工の際に部品を矯正するような器具ですね。
段取り替えといえば、外段取りと内段取りの知識。
外段取り:機械を止めないで行う段取り替え
内段取り:機械を止めて行う段取り替え
お決まり解答は「外段取りの内段取り化により~」
空転は、作業員の遅れが要因。作業員のスキルの問題。
→対応する問題は 第1問(設問3)と第2問。
第1問(設問3)
自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要があ
る。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100 字以内で述べよ。
第2問
C社の設備投資は、<鋳造工程>が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を100 字以内で述べよ。
この2つの問題の切り分けが難しい。
短納期に対応。納期の短借、製造リードタイムの短縮、段取り時間の短縮、稼働率を高める。
鋳造工程が優先されていると、機械加工工程がネック工程となり、仕掛品が多くなってしまい、移動が困難。
1つの問題に2つの論点を入れたくもなる。迷います。
以上が【改善チームによる調査結果】です。
色々と問題点、課題があり、改善すべき点があります。
どのように問題点を改善するのかの視点、どの問題点への対応をどの問題で解答したらよいのかの視点。両視点から解き進めないといけないです。
最後は「さあ 心のままに 紐づけよう」「さあ 心のままに♪ 第1設3と2問」
2015年12月9日にリリース。AKB48の「365日の紙飛行機」の歌詞より。
この試験問題の年2015年度下半期放送のNHK「連続テレビ小説」『あさが来た』の主題歌からでした。
好きな曲貼っちゃいました。たまには音楽で癒されてください。
問題に対応した書籍紹介
平成27年度(2015年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
ふぞろいな答案分析3
2014年と2015年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2014年と2015年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
TBC受験研究会
平成25年~27年度の過去問解説です。
本日のまとめ
※2次試験対策の記事は、複数年に渡り学習したきた自らの記録、各種学習参考書や過去問解説の情報、 勉強会や学習仲間とのやりとり、ブログなどさまざまな情報を元に、改めて2次試験の問題を振り返り受験生の勉強の参考になればと思い記事にさせて頂いております。
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