おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
本日は「2次試験対策 事例Ⅰ H27年度 コア技術の意味 」です。
まずは対応する過去記事です。「2次試験対策 事例Ⅰ H27年度 何が本業かわかりづらいA社」は下記です。
事例Ⅰの文章量
事例Ⅰの与件文のボリュームは他の事例Ⅱや事例Ⅲの与件文と比較すると少なめです。
今回取り扱う平成27年度の与件文は2,359字です。
多いの少ないかでは比較的多い方です。
過去の事例Ⅰの与件字数。
令和1年度:2,917字 平成30年度:2,344字
平成29年度:2,173字 平成28年度:2,674字
平成25年度:1,794字
平成22年度:2,144字 平成21年度:2,144字
平成20年度:2,144字
令和1年度の与件の字数2,917字と最も多いです。
実は平成26年度以降は文章量が多くなっている傾向になっております。
平成20年度~平成24年度は2,144字と毎年同じ字数です。
明らかに2,144字の字数制約の中で作問してます。
この5年間では毎年字数が変動しているので、字数の多い少ないに関わらず対応できないといけない。
となると本番では時間配分が難しい。
プラスチック製品メーカー?
今回は平成27年度の与件文前半です。全部で9段落。
それではスタートです。
第1段落
A 社は、「1950年代」に創業された、資本金1,000 万円、売上高14億円、従業員数75 名(非正規社員を含む)のプラスチック製品メーカーである。「1979年に」設立した、従業員数70 名(非正規社員を含む)の<プラスチック製容器製造を手がける関連会社>を含めると、総売上高は約36億円で、グループ全体でみた売上構成比は、<プラスチック製容器製造>が60%、<自動車部品製造>が24%、<健康ソリューション事業>が16%である。「ここ5年」でみると、売上構成比はほとんど変わらず、業績もほぼ横ばいで推移しているが、決して高い利益を上げているとはいえない。
→第1段落はお決まりのA社の概要。お経、資本金、売上高、従業員数・・・単調な始まりです。
1950年代、創業70年。老舗企業。1979年、約40年前に関連会社を設立した。
ここまでが創業からの過去のこと。
総売上高は36億円。いやいや、A社が14億円で関連会社を含めると36憶円。なんだい、敢えて22億円が関連会社と記載しないんかい。
A社14憶円、関連会社が22億円で関連会社の方が売り上げが大きい。
となると関連会社の方が発言力が強い。コア事業はどっち。
グループ全体の売上構成比は、<プラスチック製容器製造>が60%、<自動車部品製造>が24%、<健康ソリューション事業>が16%。
プラ6割、自動車約2.5割、健康が約1.5割。
プラスチック製容器製造と自動車部品製造は製造業で、健康ソリューション事業はサービス業。BtoBとBtoCで顧客へのアプローチも違うと推測します。
この売上と、各事業の売上構成比は「現在」のことを述べています。
最終段落は明らかに意味深の段落がある。
「ここ5年間」でみると、売上構成比はほとんど変わらず、業績もほぼ横ばいで推移しているが、決して高い利益を上げているとはいえない。
言い換えると、売上が上がってほしい事業があるが、業績は上昇傾向になく、利益率が低い。このままだとまずいっす。
これは「課題」を見つけてくれっという作問者の心の声ですね。
どこかの事業の売上をか収益のどちらかを伸ばさないといけない。
→この段落は第3問に紐づく段落。
第3問
<A社>および<関連会社>を含めた<企業グループ>で、大型成形技術の導入や技術開発などによって、<プラスチック製容器製造事業>の売上が60%を占めるようになった。/そのことは、「今後」の経営に、どのような課題を生み出す可能性があると考えられるか。中小企業診断士として、100 字以内で述べよ。
意味深な 最終段落を深堀して設問解釈と整合して解く。
第2段落
A社”単体”でみると、その売上のおよそ60%を<自動車部品製造>が占めているが、「創業当初」の主力製品は、<プラスチック製のスポーツ用品>であった。「終戦後10年」の時を経て、戦後の混乱から日本社会が安定を取り戻し、庶民にも経済的余裕が生まれる中で、レジャーやスポーツへの関心が徐々に高まりつつあった。そうした「時代」に、いち早く流行の兆しをとらえた<創業者>が、当時新素材として注目されていたプラスチックを用いたバドミントン用シャトルコックの開発・製造に取り組んだことで、同社は誕生した。
→A社の誕生秘話。
創業当初の主力製品は、<プラスチック製のスポーツ用品>
いち早く流行の兆しをとらえた、社長の先見の明があった。
現在の売上のおよそ60%を<自動車部品製造>。
<プラスチック製のスポーツ用品>から<自動車部品製造>に売上構成比が変わった。
→この段落は「スポーツ用品の製品」のことを述べており、第1問に紐づきます。
第3段落
「創業当初」こそ、<バドミントン>はあまり知られていないスポーツであったが、「高度経済成長」とともに、<創業者>のもくろみどおりその「市場」は広がった。その後、同社のコア技術であったプラスチックの射出成形技術(加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させることによって、成形品を得る方法)によるシャトルコックの製造だけでなく、木製のラケット製造にも業容を拡大すると、台湾にラケット製造の専用工場を建設した。
→バドミントン市場は広がった。
コア技術はプラスチックの射出成型技術を多重利用して、木製のラケット製造や台湾にラケット製造の専用工場を建設できた。
射出成型技術がはじめの強み
「射出成形」とは、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法です。
ポリプラスチックス株式会社ホームページより引用
製造業の事例では聞き覚えのない、いや聞いたことすらない、専門用語が出てきます。
今回はググりましたが、試験勉強期間中は単語として認識はしましたが、その意味については気にせず〇〇がコア技術とだけ把握しました。
ただ、ある程度過去に出てきた技術の用語は知っておくと読み進めのに有利なことに変わりはないです。
→この段落は第1問のスポーツ用品事業の「市場」に対応する段落。
第1問<配点20点>
ゲートボールやグラウンドゴルフなど、A 社を支えてきたスポーツ用品事業の市場には、どのような特性があると考えられるか。100 字以内で述べよ。
第4段落
しかし、「1970年代初め」の第一次オイルショックと前後して、台湾製や中国製の廉価なシャトルコックが輸入されるようになると、A社の売上は激減した。「時を同じくして」、木製ラケットが金属フレームに代替されたこともあって、A社の売上は最盛期の約70%減となり、一転して経営危機に直面することになった。どうにか事業を継続させ、約40名の従業員を路頭に迷わせずに済んだのは、当時バドミントン用品の製造・販売の陰で細々と続けていた、自動車部品の受注生産やレジャー用品の製造などで採用していたブロー成形技術(ペットボトルなど、中空の製品を作るのに用いられるプラスチックの加工法)があったからである。そして、その成形技術の高度化が、その後、A 社再生への道を切り開くことになる。
→外部環境変化の段落。台湾や中国の海外からの輸入商品との価格競合で競り負けてしまい売り上げは激減。木製ラケットが金属フレームに代替えされたり、時流の流れは変わってしまう。売上高は70%減と危機的な状況に陥ってしまう。
そんな状況下の中でも、外部環境変化の脅威に対して、有効だったのはA社のブロー成型技術というコア技術、経営資源。技術の蓄積や技術革新なくてはA社が生き残る道はなかったのである。
→外部環境の変化は第1問に対応して、ブロー成型技術は第2問に対応する。
第5段落
A社の「経営が危機に陥った時期」、<創業者である父>に請われてサラリーマンを辞めて、都市部から離れた生まれ故郷の農村に、<A 社社長>は戻ることを決意した。瀕死状態のA社の事業を託された<A社社長>は、ブロー成形技術の高度化に取り組むと同時に、それを活かすことのできる注文を求めて全国を行脚した。苦労の末、<楽器メーカー>から楽器収納用ケースの製造依頼を取りつけることができた。自社で開発し特許まで取得した新しい成形技術を活かすことができたとはいえ、その新規事業は、技術難度はもちろん、<自社ブランドで展開してきたバドミントン事業>とは、事業に対する考え方そのものが異なっていた。そこで、再起をかけてこのビジネスをスタートさせた<A社社長>は、「当初」社内で行っていた新規事業を、<関連会社>として独立させることにした。
ブロー成型技術も強み
ブロー成形は「熱で暖かくして柔らかくした樹脂をパイプ状に押し出し、そこに圧縮空気を吹き込む事で膨らませて成形するプラスチック成形法」の事です。
機会設計学習館のホームページより引用
このブロー成型技術と射出成型技術は区別して、ブロー成型技術が高度化して、楽器収納用ケースの製造依頼を取りつけ、自社開発で特許まで取得。
OEMで活路を見出す
これまでは自社ブランドのバドミントン事業で、自社ブランドじゃない楽器メーカーからの製造委託をうけた事業。これはいわゆるOEMです。
OEMとは、「オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング」
(Original Equipment Manufacturing)の略語。
相手先のブランド製造を供給すること。
"製造メーカーが他社ブランドの製品を製造する" ということ。
メリット:受託先ののブランドを利用して大量生産して、技術を蓄積できた。
本日は序盤の第5段落まで。
プラスチックの射出成型技術、ブロー成型技術
プラスチック製容器製造、自動車部品製造
何の事業のことを言っているのか、何の技術のことを言っているのか、
惑わしてくる与件文です。
冷静に切り分けられるのか、混乱したら負けですね。
問題に対応した書籍紹介
平成27年度(2015年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
これさえあればとりあえずの解答は入手できます。
ふぞろいな答案分析3
2014年と2015年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2014年と2015年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
再現答案やプロセスではお薦めです。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
TBC受験研究会
平成25年~27年度の過去問解説です。
本日のまとめ
- 事例Ⅰは平成26年度以降は文章量が多くなっている傾向。
- 毎年字数が変動し字数の多い少ないに関わらず対応できないといけない。
- 意味深な 最終段落を深堀して設問解釈と整合して解く
- 分からない技術の意味は気にせず〇〇がコア技術とだけ把握する。
※2次試験対策の記事は、複数年に渡り学習したきた自らの記録、各種学習参考書や過去問解説の情報、 勉強会や学習仲間とのやりとり、ブログなどさまざまな情報を元に、改めて2次試験の問題を振り返り受験生の勉強の参考になればと思い記事にさせて頂いております。
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