おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
本日は「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 高付加価値戦略」です。
まずは事例ⅢH28年度の過去記事です。「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 カット野菜はどう料理するか?」「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 問題点ばかりのC社を経営改善 」「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 ”最も”効果的に実施 クレームの内容はいくつか?」は下記です。
今回は事例ⅢH28年度の最後となります。解答例まで見ていきます。
受験勉強中の2019年5月頃に解いた解答を元に記載します。
設問解釈10分、概要把握25分、 対応付け5分、のこり最大40分。
1問10分でぎりぎりの時間配分です。
※設問、【出題の趣旨】、<対応付ける段落>、「キーワード」『1次知識』(解答例)の順で1問ごとにみていきます。
S強みとW弱みを40字で短時間でまとめる
第1問(配点20点)
カット野菜業界におけるC 社の a 強みと b弱みを、それぞれ40字以内で述べよ。
→カット野菜業界がポイント。各40字で字数が少ないので与件情報が多い中、
一番重要なことがらを2つぐらい説明付きで簡潔にまとめる。
定番のSWOT分析のS強みとW弱み。
情報整理・分析の問題。事例Ⅲの第1問の定番問題です。
【出題の趣旨】
第1 問(配点20 点)
「X 農業法人時代」の事業経過、およびC 社の「現在」の事業内容を把握し、カット野菜業界におけるC 社の強みと弱みを分析する能力を問う問題である。
→前置きに「X 農業法人時代」の事業経過、およびC 社の「現在」の事業内容を把握し と追加で記載があります。
※出題の趣旨は、中小企業診断協会のHPに試験後にアップされています。
<対応付けた段落>
a強みは、第1・2・3・5段落と広く対応付けました。
b弱みは、第3・4段落。
「キーワード」
第1段落「地元で認知度が高い」
第4段落「X農業法人」「規格外野菜」、「原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナス」「生産管理が組織的に行われていない」
第5段落「通年取引の要望」
『1次知識』
(解答例)
(a)親会社のX農業法人から規格外野菜を仕入れられ、販売先からの通年取引に対応できる事。
(b)生産管理が組織的に行われてなく、原材料費と労務費の構成比が高く限界利益がマイナス。
各40字と短いのでまとめるのに意外と時間がかかります。
この第1問にはあまり時間をかけず、次の問題に進みたいです。
第1問で時間をかけすぎないのが重要。書き直しはしたいくない。想定は5分~8分。
問題を解く順番
みなさん解きやすいように問題をといていると思いますが、どの様にされておりますでしょうか。事例Ⅲはパターンとして以下3つがあります。
今回のH28年の問題を元に解説します。
パターン1:第1問 から順に第2問、第3問、第4問と解く。
パターン2:第1問 戦略問題 → 第4問 戦略問題、その後に生産の問題 第2問→第3問。
パターン3:自分が解きやすい問題から解く。毎回順不同。
私としてお薦めはパターン2です。
第1問と第4問の戦略問題をセットで問いて、その後に生産の問題を解きます。
事例Ⅲは戦略と生産の問題でがらっと思考がかわるので分離して解いていきたいです。
特に最終戦略問題を先に終わらせることで、時間配分がコントロールしやすくなると思います。最終問題は字数も多いので先に終わらせてしまいたいです。
問題点を裏返す
今回の記事は便宜上、第1問から第4問の流れとします。
第2問(配点30点)
「現在」C社が抱えている最大の経営課題は、収益改善を早急に図ることである。生産管理面での対応策を160 字以内で述べよ。
→ 出た、「最大」のキーワード。収益改善を生産管理面で対応して実現する。
「生産管理面」が最大のヒント。
課題・提案、助言問題。
【出題の趣旨】
第2 問(配点30 点)
C 社が収益改善を図るために必要な生産管理面での対応策を提案する能力を問う問題で
ある。
→特に追加情報なし。
<対応付けた段落>
第4・6・8・9・10段落と表1を対応付けました。
「キーワード」
第4段落「仕入単価の高い市場規格品の使用や他産地からの仕入れも必要となり、原材料費が大きく増加」、「原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナス」「生産管理が組織的に行われていない」
第6段落「他の製造グループへの移動はない」
第8段落「収益改善」「収益拡大」
第9段落「生産高を日常の管理項目として管理」
第10段落「各製造グループで各々生産計画を立て」「製造グループごとの生産管理」①同種類の原材料調達における単価の差異、②加工ロスによる歩留りの低下、③出荷のための輸送費用のロス、④製造グループ間での作業員の移動の制限
『1次知識』
生産管理は生産計画と生産統制。
生産計画は、日程計画、工数計画
生産統制は、進捗管理、余力管理、現品管理
(解答例)
対応策は生産管理の責任者を設置し顧客からの注文を集約し一元管理することで、全グループを全体の生産計画を作成し原材料調達から出荷までを生産統制する。同種類の原材料を一括して調達し単価を集約し、加工ロスを改善し歩留まりを向上、出荷のための輸送費用のコススト削減、製造グループ間の作業員の移動を円滑にして、限界利益の向上を図る。
とりあえず、問題点を裏返して改善すると、ある程度文章が埋まります。
見返すともう少し1次知識を入れた方がしまりがある。
クレーム対応策
第3問(配点20 点)
C社では、クレームを削減する改善活動を計画している。このクレーム改善活動を最も効果的に実施するために、着目するクレーム内容、それを解決するための具体的対応策を120 字以内で述べよ。
→ クレーム内容と解決するための具体的対応策。
問題点の列挙・抜きとそれに対する対応策を記載する。
「最も効果的」と1つのことだけを記載する意図の文章が入れられているので解答を検討するのに迷いが生じてしまう作りになっている。
【出題の趣旨】
第3 問(配点20 点)
C 社の生産現場の課題を把握し、クレームを削減する改善活動を最も効果的に実施する方法として、着目するクレーム内容とその解決策を提案する能力を問う問題である。
→「生産現場」の課題と追加情報があります。
また、最も効果的に実施する方法でした。
<対応付けた段落>
第11・12段落と表2と図1を対応付けました。
「キーワード」
第11段落「大きな問題は品質不良」「製品クレームが発生」
第12段落 「施設・設備面などの衛生管理、作業方法などの衛生管理、どちらの管理レベルにも課題があり、販売先からの改善要求もある。」
表2「カット形状不均一 」「構成比50.5%」
図1「異物混入」「衛生管理ルールがない」「メンテナンス技術がない」
『1次知識』
作業標準化、マニュアル化、5S徹底
(解答例)
着目するクレーム内容は構成比50.5%のカット形状不均一である。対応策は作業標準化・マニュアル化して作業方法を統一する。製造グループ間の異動で交流させ作業員を教育して品質や衛生管理意識を高める。施設・設備のメンテナンスや日常点検を実施する。
特性要因図からの抜き出しと与件からの問題点の改善。
標準化はつかいましたが、5Sは使わず施設・設備面と作業方法の観点から解答しました。
高付加価値戦略
第4問(配点30点)
<C社社長>は、経営体質の強化を目指し、「今後」カット野菜の新事業による収益拡大を狙っている。(また)その内容は、顧客からの新たな取引の要望、およびC社の生産管理レベルや経営資源などを勘案して計画しようとしている。この計画について、中小企業診断士としてどのような新事業を提案するか、その理由、その事業を成功に導くために必要な社内対応策とともに160 字以内で述べよ。
→経営戦略問題。 C社の経営資源を活用して、新規事業を実施する。
この問題は賛否両論問題でした。
将来のC社の戦略を助言提案する問題。
【出題の趣旨】
第4 問(配点30 点)
C 社の顧客動向など外部環境を把握し、今後野菜の加工事業を強化して収益拡大を図るために必要な戦略について、助言する能力を問う問題である。
→顧客動向など外部環境を把握・分析して解答しろと追加されております。
<対応付けた段落>
第7段落を中心に、1・2・4・5・8・12段落と図1と広く対応付けました。
「キーワード」
第5段落「通年取引の要望」
第7段落「製造工程を利用できる事業」
第8段落「収益改善」「収益拡大」
第12段落 「施設・設備面などの衛生管理、作業方法などの衛生管理」
図1「異物混入」「衛生管理ルールがない」「メンテナンス技術がない」
『1次知識』
SWOT分析、強みの強化、弱みの補填、高付加価値
(解答例)
A:ソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業、設備投資必要
B:一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業。既存の製造工程でできる。
賛否両論の問題です。AなのかBなのか、果たして両方書いちゃうのか。
与件全体を通してC社を分析して最終的に根拠を元に〇案を選択する。
A解答
カット野菜を原料としたソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業を行う。理由はX農業法人からの規格外野菜のみで製造でき、材料コスト削減できるため。収穫時期による季節変動を製品が長期保存できる事で回避できる。社内では食品工業としての施設・設備、作業方法などの衛生管理レベルを組織的に行える体制を構築して、収益拡大させる。
B解答
一般消費者向けのカット野菜パック事業を行う。理由はカット野菜需要の高まっておりX農業法人からの通年納品に対応でき野菜の調達力と新規投資不要で現在の製造設備・工程を生かせる為。対応策は組織的な生産管理によりコスト削減、設備のメンテナンスと作業員の教育、衛星管理ルールを徹底して、り品質を向上させ、通年出荷できる体制を構築する。
高付加価値戦略が中小企業であるC社にとってしっくりくる戦略となりますが、AでもBでも与件にそってロジックが通る助言が出来ていればよいと思います。
問題に対応した書籍紹介
毎回の付録記事です。
平成28年度(2016年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
これさえあればとりあえずの解答は入手できます。
ふぞろいな答案分析4
2016年と2017年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2016年と2017年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
再現答案やプロセスではお薦めです。
第2版が2020年5月に新刊が発売されました。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
ある優秀な人の解答として参考にしました。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
本日のまとめ
- 第1問にはあまり時間をかけず、短時間で処理する。
- 問題点を裏返して改善するとある程度文章が埋まる。
- 第1問と第4問の戦略問題をセットで先に問いて、その後に生産の問題を解く。
- 高付加価値戦略が中小企業であるC社にとってしっくりくる戦略。
- 与件にそってロジックが通る助言が出来ていればよい
※2次試験対策の記事は、複数年に渡り学習したきた自らの記録、各種学習参考書や過去問解説の情報、 勉強会や学習仲間とのやりとり、ブログなどさまざまな情報を元に、改めて2次試験の問題を振り返り受験生の勉強の参考になればと思い記事にさせて頂いております。
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