おはようございます。
中小企業診断士のシンです。
本日は「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 問題点ばかりのC社を経営改善 」です。
まずは対応する過去記事です。「2次試験対策 事例Ⅲ H28年度 カット野菜はどう料理するか?」は下記です。
事例Ⅲのイメージ
事例Ⅲは生産・技術の事例で必ず製造業のC社となります。C社のストーリーはある程度きまったパターンが存在します。
製造業のビジネスモデルや業界構造。顧客との取引はBtoBなのか、BtoCなのか。下請け関係なのか、顧客と直接取引ができているのか。中小企業であるC社の強みを生かして、弱みを克服して、高収益体制を構築していく。こんなイメージがC社の経営課題です。
平成26年度の事例Ⅲの問題は、与件文は1,897字。表1はコスト管理表、表2はクレーム件数、図1に特性要因図とあるのが特徴。
この事例は設問が大問4題のみなので、設問解釈にはそれほど時間はかからない問題だと思います。
X農業法人の子会社からスタート
それでは与件文スタート。
【C 社の概要】と【生産概要】の2部構成。全部で12段落。表が2つで図が1つ。
第1段落
【C 社の概要】
①C社は、調理用のカット野菜を生産、販売している。C社は、「2013年」に<野菜を栽培するX農業法人>から分離し、設立された企業である。<販売先>は<総菜メーカー>や<冷凍食品メーカー>が中心で、主に量産される総菜などの原材料となるカット野菜を受注生産し、年商は約2億円である。
→スタンダードな入り方。C社の概要。業種、生産形態・今回は受注生産、年商。特徴的なのは<X農業法人>から分離した企業。
農業法人とは、稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸、畜産など、農業を営む法人の総称です。
農業法人について詳細が書かれてます。法人化のメリット。
深入りしたい方は下記へ。
受注生産
メリット:顧客のニーズに合わアせて製品を製造、在庫が少ない
課題:生産リードタイムの短縮、納期の順守、受注の平準化。
受注生産の特に課題を検討しながらイメージを膨らます。
第2段落
②カット野菜とは、皮むき、切断、スライス、整形など生野菜を料理素材として下処理した加工製品である。<外食産業>や<総菜メーカー>など向けの千切り、角切りなどに加工された製品が需要の中心で、「最近」では<スーパーマーケット>や<コンビニエンスストア>などで販売されている袋に入ったサラダやカップサラダにも広がっている。 国内の野菜需要全体に占めるカット野菜需要の割合は年々増加している。
→カット野菜の定義・概要と、外部環境の状況の段落。機会は追い風ですね。
実施はどうか。「独立行政法人農畜産業振興機構」の資料から市場動向を調査。
商品アイテムは減少傾向で、販売金額は増加傾向である。
販売価格の月額の推移をみると、生鮮野菜の購入価格の変動に伴い、カットの購入も変動。野菜の取れ高により、変動する傾向が強い。
平成 30 年度カット野菜・冷凍野菜・野菜惣菜に係る小売販売動向調査
第3段落
③カット野菜は、<販売先>の意向を受けて、野菜の流通を担っている<卸売業者>や<仲卸業者>が、野菜の販売方法の一つとして始めたと言われている。またカット野菜は、<販売先>から要望される通年納品に応えるため、常に一定量の野菜を確保する必要がある。そのため<同業者>の”多く”が野菜の調達能力が高い<卸売業者>や<仲卸業者>である。
→卸売業者と仲卸業者との関係性が強い。。プラス面とマイナス面を兼ねそろえている状況である。
問題点ばかりのC社
第4段落
④<X農業法人>では、市場に出荷できない規格外野菜の有効活用を目的として「2000 年」からカット野菜の加工を始めたが、その後受注量が増加したため、①仕入単価の高い市場規格品の使用や②他産地からの仕入れも必要となり、原材料費率が大きく増加した。そこで事業収支を明確にし、収益性の向上に努めて加工事業として確立するために分離し、<X農業法人の100 %出資子会社>として<C社>が設立された。C社の「設立当時」作成された社内コスト管理資料(次ページ表1)では、予想されていた以上の原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナスとなっていることが判明し、この傾向は今でも改善されていない。これは、<X農業法人>から独立し改善に向けて努力しているものの、いまだに効果的な生産管理が組織的に行われていないことによる。
→X農業法人から独立したが、良くない状況が続いている。問題点。
①原材料費率が大きく増加
③効果的な生産管理が組織的に行われていない
露骨に問題点が記載されている段落です。
悪い状況であることが丁寧に記載されている。
露骨な問題点を課題提起して、対応策を助言していく。
この段落は 第1問の弱みに対応する。
弱みがあり過ぎて80字でまとまらないかも。
この問題点が露骨であればあるほど、問題の難易度は下がります。
ここで与件との兼ね合いから表1をみてみます。
表1
限界利益がマイナス。▲11.4。ないしは営業利益も当然マイナス。▲27.5。
変動費のなかでも材料費66.8%、労務費28.1%、変動費が合計111.4%
え?変動費だけですでに赤字。利益なし、高コスト体制。
なぜ事業を続けていけられているのか。
親会社だった、農業法人の後ろ盾があるから?
第5段落
⑤工場操業状況は、規格外野菜を主に原料として利用していた時には収穫時期から「約
半年間」の季節操業となっていたが、市場規格品の使用や他産地からの仕入れによって
工場操業期間は長くなったものの、C社に受け継がれた後でもまだ「約3カ月」の休業期間が例年生じている。<販売先>からは通年取引の要望がある。
→よくないことばかり続きます。季節変動を受注の平準化により解消したい。
この段落は第1問の弱みと「生産管理」の用語から第2 問に対応する段落です。
さらに受注の平準化を改善するのであれば、第4問の新規事業にもつながってきます。
第6段落
⑥C社の組織は、「X農業法人時代」の<加工部門責任者が社長>となり、<製造3グループ>と<総務グループ>で構成されている。<社長>は、全体の経営管理の他に営業活動も担っている。<各製造グループ>には<責任者として正社員の製造リーダー1名>が配置され、<合計25名のパート社員>が<3つの製造グループ>に配置されている。「X農業法人時代」から<同じ製造グループに勤めているパート社員>が多く、他の製造グループへの移動はない。<総務グループ>は、<正社員1名>と<パート社員名2>で構成されている。
→この段落はC社の組織構造と人員について。組織的な課題を検討してしまう段落。
事例Ⅰ組織・人事の事例ではないので、事例Ⅲの生産・技術の視点から見てい行きたい。
時間があれば組織を図にして見える化してもよいと思います。
・製造が3グループ、正社員の製造リーダー1名に25名のパート社員がいる。
1人で管理できているのか。
・経営資源が少ないC社は社長が営業を兼務してます。
中小企業ならではの社長のトップセールスです。
・<同じ製造グループに勤めているパート社員>が多く、他の製造グループへの移動はない。この表現は良くも悪くもとらえることが出来て悩ますように作られてます。
A案なのかB案なのか
第7段落
⑦「現在」<取引関係にある顧客>や<関連する業界>から、<C社>と<X農業法人>との関係に注目した新たな取引の要望がある。その中でC社社長が有望と考えている二つの新事業がある。①「一つ」は、カット野菜を原料としたソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業であり、設備投資を必要とする事業である。②「もう一つ」は、<新鮮さを売りものにしている中小地場スーパーマーケットなど>から要望がある一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業であり、「現在」の製造工程を利用できる事業である。
→この段落は第4問に対応する段落です。
第4問(配点30点)
<C社社長>は、経営体質の強化を目指し、「今後」カット野菜の新事業による収益拡大を狙っている。(また)その内容は、顧客からの新たな取引の要望、およびC社の生産管理レベルや経営資源などを勘案して計画しようとしている。この計画について、中小企業診断士としてどのような新事業を提案するか、その理由、その事業を成功に導くために必要な社内対応策とともに160 字以内で述べよ。
A:ソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業、設備投資必要
B:一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業。既存の製造工程でできる。
共にBtoCへの事業展開。
ここが賛否両論の問題です。AなのかBなのか、果たして両方書いちゃうのか。
与件全体を通してC社を分析して最終的に根拠を元に〇案を選択する。
第8段落
⑧<C社社長>は、まず現状の生産管理を見直し、早急に収益改善を図ることを第1の目標としているが、それが達成された「後」には新事業に着手してさらなる収益拡大を目指すことを考えている。
→社長のビジョンの段落。第2問に生産管理と収益改善、第4問新事業が紐づけられます。
といことで、本日は8段落まで。
問題点がたくさん出てくるC社。どんな改善策を提案しているのでしょうか。
ここまで露骨に問題点が明記されている年は珍しいです。
問題に対応した書籍紹介
毎回の付録記事です。
平成28年度(2016年度)の解答解説が掲載されている書籍の紹介です。
過去問
診断協会のホームページからダウンロード
AASのホームページからダウンロード
試験問題だけではなく、解答用紙と出題の趣旨までまとまってます。
2次試験過去問ダウンロード│AAS中小企業診断士 2次試験対策専門校
TAC
定番の過去5年間の過去問の解答解説。
令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分。
ふぞろいシリーズ
ふぞろいな合格答案10年データブック
平成28年~平成19年の10年間分の事例問題の再現答案とベスト解答、採点基準が記載されているので直近の過去問をやりつくしてしまった方も活用して、平成19年以降の過去問を勉強することができます。
これさえあればとりあえずの解答は入手できます。
ふぞろいな答案分析4
2016年と2017年のふぞろいの前半の合格答案部分をまとめた書籍です。解答だけでなく分析コメントや特集記事など詳細まで知りたい方向けです。
2016年と2017年のふぞろいの後半部分をの80分間のドキュメントと再現答案がまとめられた書籍です。
事例問題攻略マスター
再現答案やプロセスではお薦めです。
第2版が2020年5月に新刊が発売されました。
各事例の解き方と令和1年(2019年)~平成27年(2015年)までの過去5年分の過去問の解説付き。書籍がA4版と小さ目で持ち運びに便利。
ある優秀な人の解答として参考にしました。
平成28年(2016年)~平成24年(2012年)までの過去5年分です。
本日のまとめ
- 受注生産の課題:生産リードタイムの短縮、納期の順守、受注の平準化。
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露骨な問題点を課題提起して、対応策を助言していく。
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問題点が露骨であればあるほど、問題の難易度は下がります。
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AorB問題は与件全体を通し分析して最終的に根拠を元に〇案を選択する。
※2次試験対策の記事は、複数年に渡り学習したきた自らの記録、各種学習参考書や過去問解説の情報、 勉強会や学習仲間とのやりとり、ブログなどさまざまな情報を元に、改めて2次試験の問題を振り返り受験生の勉強の参考になればと思い記事にさせて頂いております。
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